秋分の日が近づき、そろそろお彼岸の季節になりましたね。
お彼岸の期間は「秋分の日および前後3日を含む7日間」と定義されています。2019年の場合、秋分の日が9月22日(月・祝)なので、お彼岸は9月20日(金)〜25日(木)になります。
さて本題に入りますが、彼岸といえば彼岸花(ヒガンバナ)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。彼岸の時期に咲くことからその名が付いた彼岸花ですが、名前からしてあまり良いイメージを持たれないのが現状です。花は綺麗なのですが…。
今回は、そんな彼岸花の名前の由来・別名などについて少し掘り下げてみます。
ヒガンバナの概要
種別:多年草(球根植物)
花色:赤
花期:9月
原産:中国
(※別名・花言葉は別節参照)
◎特徴:
9月中旬になると地中から蕾を出し、直径10〜15cm程度の集合花を咲かせます。花が終わる頃になると葉が大きく伸び、そのまま冬を越します。春になると葉は枯れ、夏の休眠期に入ります。
実は有毒植物
ヒガンバナにはリコリンやガラタミンなどの有毒成分が多く含まれます。有毒成分は花だけでなく、葉・茎・球根など全てに含まれています。このような花を全草有毒(ぜんそうゆうどく)と呼びます。
特に、球根には有毒成分が多いと言われています。球根1個を丸々食べてしまっても死に至ることはほとんどありませんが、嘔吐・下痢・呼吸困難などの症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。
意外なところで毒が役立った!?
彼岸花といえば、田んぼのあぜ道や墓地などでよく見かけますよね。実は、彼岸花の持つ有毒成分が分布に関係していると言われています。
田んぼのあぜ道にはモグラやネズミなどの小動物が生息しています。これらの小動物によって土が荒らされると、土が崩れ落ちるだけでなく、稲の生育にも影響を及ぼすことがあります。そこで、これらの被害を抑えるために、有毒成分のある彼岸花を植えたと言われています。
また、墓地で見かける彼岸花も同様に、土葬されたご遺体を荒らされないように植えられたと言われています。
名前の由来
彼岸花の名前の由来は大きく2つあると言われています。どちらも彼岸花の特徴が由来となっています。
①花が咲く時期
・彼岸の時期になると一斉に咲くため
②有毒性
・彼岸花を口にしたら死(彼岸)しかない、と言われるため
彼岸花の別名
彼岸花にはたくさんの別名があります。その数は日本の植物の中で最も多いと言われており、方言を含むと1000以上の別名があるそうです。
ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
代表的な別名
・曼珠沙華(まんじゅしゃか)
→サンスクリット語で「天界に咲く花」という意味。おめでたい事が起こるときに、天上から赤い花が降ってくる、という仏教の経典に由来。
死を連想させる別名
・死人花(しびとばな)
・幽霊花(ゆうれいばな)
・地獄花(じごくばな)
→彼岸の時期に咲くことや、墓地でよく見られることに由来。
有毒性を連想させる別名
・毒花(どくばな)
・痺れ花(しびればな)
→彼岸花の有毒性に由来。昔は食糧不足の際に毒を抜いて食べることがあったが、毒を抜き切れずに中毒症状を起こす人もいたらしい。
花の見た目を連想させる別名
・天蓋花(てんがいばな)
・狐の松明(きつねのたいまつ)
・狐のかんざし(きつねのかんざし)
・剃刀花(かみそりばな)
→花の色・形が炎や狐に見えることに由来。
彼岸花の生態を連想させる別名
・葉見ず花見ず(はみずはなみず)
・捨て子花(すてごばな)
→花が咲く時に葉は見られず、葉が出る時には花が見られないことに由来。
彼岸花の迷信
彼岸花には数々の迷信があります。彼岸花が不吉な花と言われてしまうのは、これらの迷信が影響したとも言われています。
迷信の由来は諸説ありますが、彼岸花を子供が誤って食べてしまわないよう、このような迷信を使って近付けないようにしていたと言われています。
また、土葬をした際に植えることが多かったため「彼岸花が咲いている=近くにお墓がある」という注意喚起だったという説もあります。
おわりに
有毒性や植えられた場所などが理由で、不吉な花と言われてしまう彼岸花。ですが、まとまって咲く姿はとても綺麗で、秋の風物詩となっています。
まさに今がシーズンですので、是非見に行ってはいかがでしょうか。