先日、ふと立ち寄った公園でイチョウの葉が伸びてきているのを見かけました。イチョウといえば秋の紅葉を思い浮かべる方も多いかと思いますが、この時期の若葉もなかなか見応えがあります。
葉を大きく広げていることから広葉樹だと勘違いされがちなのですが、実はイチョウは針葉樹に属しています。私自身も少し曖昧なのですが、針葉樹と広葉樹はそれぞれどのように定義されているのでしょうか?
イチョウの概要
科・属名:イチョウ科イチョウ属
種別:落葉高木
花色:─(花弁なし)
花期:3〜5月
原産:中国
別名:銀杏など
花言葉:荘厳、長寿、鎮魂など
◎特徴:
現存する最古の樹とされ、ペルム紀(約2.5〜3億年前)からほとんど姿を変えていないことから「生きた化石」と呼ばれることもあります。野生種は絶滅危惧種(野生絶滅危惧種)に指定されていますが、園芸種は街路樹などとして広く親しまれています。なお、日本国内に植えられている街路樹の中で最も本数が多いのはイチョウなのだそうです。
雌雄別株(雌株と雄株がそれぞれ存在する)の性質を持つため、木によって実をつけるもの(雌株)とつけないもの(雄株)があります。雌株につく実(種子)は、銀杏として食用にされます。
イチョウは広葉樹ではなく針葉樹!
イチョウの葉は幅を持つため広葉樹だと思われがちですが、列記とした針葉樹です。他の針葉樹と同様、イチョウの葉も元々は細長かったようですが、進化の過程で徐々に今の形へと変化したと言われています。
針葉樹と広葉樹の違いは?
最後に、今回話題に挙げた針葉樹と広葉樹の違いについてご紹介したいと思います。
①葉の形
針葉樹の葉は針のように細長く、広葉樹は平べったい形をしています。イチョウの葉は例外で、平べったい形をしているものの針葉樹に属します。
②樹形
針葉樹は上に真っ直ぐ伸びるのに対し、広葉樹は幹を曲げながら広がりを持つように伸びます。イチョウの木は上に真っ直ぐ伸びることが多く、針葉樹の性質を持っています。
③花弁の有無
針葉樹は裸子植物、広葉樹は被子植物です(理科の授業を思い出しますね…)。一般的に、裸子植物(針葉樹)には花弁がなく、被子植物(広葉樹)には花弁があります。イチョウの花にも花弁はありません。
④種子の構造
③の続きになりますが、裸子植物は胚珠(種子の元となる部分)が剥き出しになっているのに対し、被子植物の胚珠は子房(果肉)などに包まれています。ここでイチョウの実(銀杏)を思い浮かべてみると、固い殻を持った種子は「独特の臭みを持つ黄色い果肉のようなもの」に覆われていることがわかります。実はこの黄色い部分は「外種皮」と呼ばれ、列記とした種子の一部です。したがって、イチョウの種子も剥き出しになっているため、針葉樹の性質を持つことになります。
⑤分布域
必ずしも明確に切り分けられるわけではありませんが、針葉樹は比較的寒い地域、広葉樹は比較的暖かい地域に分布しています。イチョウは北半球の温帯域に広く植えられていますが、寒さにもかなり強いとされています。
⑥木材の性質
針葉樹は柔らかくて軽い材質、広葉樹は硬くて重い材質をしています。イチョウの木材についてはあまり聞いたことがないのですが、一般的な針葉樹と同様、柔らかくて軽い材質と思われます。
イチョウは「生きた化石」と呼ばれるほど長年姿を変えていないため、現在分布している一般的な針葉樹とは少し異なる性質を持ちます。そのため例外的な扱いを受けることもあるのですが、その特徴を振り返ってみると針葉樹の性質を多く持つことがわかります。