夏になると、生垣やフェンスなどでこんな野草をよく見かけます。赤みを帯びた茎を持つこちらの野草は「ヤブカラシ」と呼ばれます。
ヤブカラシの「ヤブ」は藪のことだと何となく想像できますが、「カラシ」とは一体何を表しているのでしょうか?今回は、そんなヤブカラシの概要や名前の由来についてご紹介したいと思います。
ヤブカラシの概要
科・属名:ブドウ科ヤブカラシ属
種別:多年草
花色:薄緑
花期:6〜8月
原産:日本、中国、朝鮮半島など
別名:ヤブガラシ、ビンボウカズラなど
花言葉:積極性のある、不倫など
◎特徴:
日本・中国・朝鮮半島などを原産とする多年草で、日本では北海道〜南西諸島まで広く分布しています。ブドウ科に属するため広い意味ではブドウの仲間ですが、結実するケースは比較的稀で、実も食用にはなりません。生命力が旺盛なため荒地でもよく育ち、一度生えてしまうと駆除が難しい植物としても知られています。
名前の由来は?
ヤブガラシという名前は「藪枯らし」から来ており、藪を覆って枯らしてしまうほどの生命力が由来となっています。また口に含むと辛味を感じることから、ヤブ「カラシ」と呼ばれるようになったという説もあります。
また別名でもあるビンボウカズラは、庭の手入れまで手が回らないような貧乏な人の敷地に生い茂ることや、ヤブカラシが茂ることでその家が貧乏に見えてしまうことなどが由来だとされています。
ヤブカラシは花弁がすぐに落ちる?
ヤブカラシの花は朝に開花しますが、その日の午後には緑色の花弁、そして雄しべを落としてしまいます。残ったオレンジ色(ピンク色)の部分は花盤と呼ばれ、たくさんの蜜が蓄えられていることから多くの虫を呼び寄せます。花盤の期間が長いため、ヤブカラシの花=花盤をイメージされる方も多いのかもしれません。
▲花弁の付いた花(赤丸部分)と花弁の落ちた花(青丸部分)
なお、ヤブカラシの花が受粉すると黒い実をつけます。しかしながら、染色体等の関係で関東以北の株はほとんど結実しないのだそうです。
(※関東以北のヤブカラシはほぼ全てが「結実しない3倍体」なのに対し、中部以西では「結実する2倍体」も分布しているのだとか。3倍体・2倍体についてはあまり詳しくないため、ここでは割愛しますが。。。)