アタマの中は花畑

小さな花壇と家庭菜園を手に入れたガーデニング初心者の日々

「遺伝子組み換え作物」が避けられてしまうのはなぜ?

自宅の庭で家庭菜園を始めて今年で3年目となりますが、収穫できる作物の種類が年々増えてきました。最初の頃は見よう見まねで育てていましたが、少しは軌道に乗ってきたかな?という気がします。

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趣味の一環で家庭菜園を楽しむ分にはほとんど見かけないのですが、数ある野菜の中には「遺伝子組み替え作物」と呼ばれる品種も存在します。しかしながら、日本では敬遠されがちなのも事実で、店頭では「この商品は遺伝子組み換え作物を使用していません」といった触れ込みをよく見かけます。

そもそも、遺伝子組み換え作物とは一体何者なのでしょうか?そして、一般的な作物に比べて避けられてしまうのには何か理由があるのでしょうか?

 

 

遺伝子組み換え作物とは?

遺伝子組み換え作物(GMO: Genetically Modified Organism)とは、遺伝子組み換え技術を用いて「その植物が本来持たない性質を、他の植物の遺伝子を組み込むことで持たせるようにした作物」のことで、遺伝子組み換え食品と呼ばれることもあります。つまり、遺伝子を組み替えることでその植物が持つ遺伝的性質を変えてしまうことを指します。

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もう少し噛み砕いて説明すると、以下のような場合に遺伝子組み換え技術が使われています。このような経緯で人工的に作られた植物のことを遺伝子組み換え作物と呼びます。

◼︎Case1:

・この作物は害虫に弱いから、害虫への耐性を持たせて収穫量を増やしたい!→害虫耐性のある植物の遺伝子を組み込む など

◼︎Case2:

・この植物は除草剤で枯れてしまうから、除草剤への耐性を持たせて除草剤が使えるようにしたい!→除草剤耐性のある植物の遺伝子を組み込む など

 

遺伝子組み換え作物のメリットとは?

遺伝子組み換え作物のメリットは、何と言っても品種改良だけではなかなか実現できない性質を人工的に持たせることができる点です。先程取り上げた2つの事例を例に挙げると、遺伝子組み換えによって害虫や除草剤への耐性を付けることができます。その結果、収穫量を増やしたり、栽培中の手間を減らしたりすることにも繋がります。また、遺伝子組み換えは人工的に行うものであるため、(何代もの世代交代が必須な品種改良とは異なり)環境や栽培技術の変化にも柔軟に対応できる点が魅力です。

 

遺伝子組み換え作物の種を育てたら遺伝子組み換え作物になるの?

答えはYESです。先程取り上げたメリット(収穫量の多さ、手間の少なさなど)も相まって、遺伝子組み換え作物の作付面積は年々増加しています。日本でも大豆、とうもろこし、じゃがいも、なたねなどは遺伝子組み換え作物の栽培・販売が許可されています(※栽培・販売にあたり事前申請が必要な場合もあります)。

 

避けられがちなのはなぜ?

ここまでの内容を踏まえると、遺伝子組み換え作物にはさまざまな特徴・メリットがあります。それにも関わらず、一般的な作物に比べて避けられてしまいがちなのには何か理由があるのでしょうか?

 

その理由を一言で言ってしまえば「安全性が完全には保障されていないため」だと考えられます。畑で育てた作物を加工・調理するにあたっては、安全性の確保が第一です。日本で流通している遺伝子組み換え作物についても厳正な審査をクリアしていますが、その安全性については懐疑的な意見も見られます。中には「一般的な作物に比べてアレルギー反応を引き起こしやすいのでは?」との研究結果も報告されているようで、安全性が完全には保障されているとは言いがたい状況です。

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また、遺伝子組み換え作物が他の植物と交配してしまった場合、意図せず交配した作物が遺伝子組み換え作物扱いされることもあります。さらには病気や除草剤に強い雑草が生まれてしまったりと、環境への影響も懸念されています。

 

もちろん上記のような事例はごく稀なのですが…健康面・環境面の懸念事項ばかりが取り上げられ、どうしても避けられてしまうというのが現状のようです。先程も取り上げたとおり、厳正な審査により「安全性」は保障されているはずなのですが…いつか遺伝子組み換え作物を全員が安心して食べられる日はやってくるのでしょうか?