我が家の近所には大きなイチョウの木があり、この時期になると近所の方々がたくさんの銀杏を収穫されています。私自身も、小さい頃はよく公園で銀杏拾いをしていたものです。
(※画像はイメージです)
銀杏といえば秋の味覚の一つで、茶碗蒸しなどには欠かせない食材です。その一方で、収穫してからの手間がそれなりにかかる食材としても知られており、特にやっかいなのが黄色い実が持つ独特のニオイです。臭いと言われてしまうこともある銀杏ですが、このニオイの正体は一体何なのでしょうか?
イチョウの概要
本題に入る前に、まずはイチョウの概要についてご紹介します。
科・属名:イチョウ科イチョウ属
種別:落葉高木
花色:─(花弁なし)
花期:3〜5月
原産:中国
別名:銀杏など
花言葉:荘厳、長寿、鎮魂など
◎特徴:
現存する最古の樹とされ、ペルム紀(約2.5〜3億年前)からほとんど姿を変えていないことから「生きた化石」と呼ばれることもあります。野生種は絶滅危惧種(野生絶滅危惧種)に指定されていますが、園芸種は街路樹などとして広く親しまれています。なお、日本国内に植えられている街路樹の中で最も本数が多いのはイチョウなのだそうです。
雌雄別株(雌株と雄株がそれぞれ存在する)の性質を持つため、木によって実をつけるもの(雌株)とつけないもの(雄株)があります。雌株につく実(種子)は、銀杏として食用にされます。
◎イチョウの概要は下記記事からの引用です
イチョウは針葉樹だった!?〜針葉樹と広葉樹の違いとは?〜 - アタマの中は花畑
銀杏の黄色い部分は果肉なの?
イチョウは裸子植物(胚珠(=種子)が剥き出しになっている植物)であるため、果肉(子房)にあたる部分は存在しません。つまり、イチョウの実のように見える部分は全て種子であり、黄色い部分は外種皮(がいしゅひ)と呼ばれます。もう少し細かく説明すると、銀杏は以下の3つの部分に分けることができます。
外種皮=果肉のように見える黄色い部分
中種皮=白くて硬い殻の部分
内種皮=中種皮の内側の渋皮にあたる部分
銀杏の実が臭いのはなぜ?
銀杏が持つ独特のニオイは主に酪酸とエナント酸によるものです。もう少し言い換えると、酪酸は「蒸れた足のようなニオイ」、エナント酸は「腐った油のようなニオイ」を持ちます。銀杏はこの2つを併せ持っているため、不快に感じてしまう方がいるのも仕方がないことなのかもしれません。
銀杏の黄色い部分は食べられるの?
結論から言えば、銀杏の黄色い部分(外種皮)は食べられません。外種皮にはビロボールやギンコール酸と呼ばれるアレルギー成分が含まれているため、食べると口の中がかぶれてしまうことがあります。手で直接触れただけでも皮膚炎を引き起こすことがあるため、肌の弱い方は直接触らないように気をつけましょう。
【余談】銀杏の毒性について
ほどよい苦味がたまらない銀杏ですが、食べ過ぎるとまれに中毒症状を起こすことがあります。具体的には、銀杏に含まれる「4'-メトキシピリドキシン」と呼ばれる毒素がビタミンB6の働きを阻害することにより、嘔吐や下痢、痙攣などにつながります。
この中毒症状は小さい子供に発症しやすいと言われているため、子供の場合は特に食べ過ぎに注意する必要があります。個人差があるため一概には言えませんが、目安としては「子供は5個以内、大人は10個程度」までに留めておくと良いようです。