最近は強剪定を繰り返しているためなかなか実を収穫することができないのですが、我が家の庭でもオリーブの木を1本育てています。自宅で収穫した実の使い道としては塩漬けなどがまず挙げられますが、オリーブ油(オリーブオイル)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
▲2年ほどに撮影した庭のオリーブ
健康食品としても名高いオリーブオイルですが、店頭に陳列された商品の中には「エキストラヴァージンオイル」と記載されたものも含まれています。いかにもプレミア感を感じるこの商品、一般的なオリーブオイルとは何が違うのでしょうか?
エキストラヴァージンオイルとは?
エキストラ(エクストラ)ヴァージンオイルとは、オリーブの実を絞ってろ過しただけの油(ヴァージンオイル)のうち、香りや酸度の基準を満たした特に良質な油のことを指します。具体的には、以下の基準を満たす必要があります。
①酸度が0.8%以下(※諸説あるため後述)
②官能検査で香り・味に欠点がないと評価されていること
そのため「エキストラヴァージンオイル」と記載するためには厳しい基準をクリアする必要があり、私が冒頭で触れた「プレミア感」についてもあながち嘘ではなかったことになりそうです。
日本のエキストラヴァージンオイルには「偽物」が含まれている!?
エキストラヴァージンオイルについて調べていたところ「日本のエキストラヴァージンオイルには基準を満たしていない偽物が含まれている」といった趣旨の記載をよく見かけました。もう少し深掘りしてみたところ、これには審査基準が世界と日本で異なることが関係しているようです。
異なるのは酸度に関する基準で、具体的には以下のように異なります。国際オリーブ協会(IOC)では酸度に関する基準を明確に設けているものの、日本はIOCに加盟していないため、日本農林規格(JAS)の独自基準によってエキストラヴァージンオイルに該当するかどうかを判断しています。以下の条件を比較すると、世界に比べて日本の方が審査基準が若干緩いことがわかります。
世界:酸度が0.8%以下
日本:酸価が2.0mg以下(≒酸度が1.0%以下)
したがって、日本のエキストラヴァージンオイルに関しては以下のことが言えそうです。
・世界基準でいえば、基準を満たしておらず「偽物」と言われてしまう場合もある
・日本基準でいえば、全て基準を満たした本物である
普通のオリーブオイルとの違いは?
エキストラヴァージンオイルについてはここまでの内容でご紹介したとおりですが、その他のオリーブオイルとは以下のような違いがあります。
※ここではIOCの基準をもとに分類しています。
◎エキストラヴァージンオイル
→加熱処理・化学処理が行われていない油のうち、酸度0.8%以下、かつ香り・味に欠点がないもの。
◎ヴァージンオイル
→加熱処理・化学処理が行われていない油のうち、酸度0.8〜2.0%、かつ香り・味に欠点がないもの。
◎オーディナリーヴァージンオイル
→加熱処理・化学処理が行われていない油のうち、酸度2.0〜3.3%のもの。
◎ピュアオリーブオイル
→精製したオリーブ油(香り・味のない状態に加工したもの)と、エキストラヴァージンオイルまたはヴァージンオイルを混ぜ合わせたもの。単にオリーブオイルと表記することもある。
それぞれの用途の違いについて
先程取り上げたオリーブオイルのうち、日本では主に「エキストラヴァージンオイル(※)」「ピュアオリーブオイル」の2種類が流通しています。それぞれの性質から、調理の場面では以下のように使い分けられています。
※ここではJASの基準のみを満たす油も含まれます。
◎エキストラヴァージンオイル
・風味が強いため、主に生食用として用いられる。加熱すると風味は弱まるものの、加熱調理用として用いても問題ない。
◎ピュアオリーブオイル
・風味が弱いため、主に加熱調理用として用いられる。食材の風味を活かしたい場合は、生食用として用いることもある。