アタマの中は花畑

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【合掌造り】茅葺き屋根の「カヤ」の正体はあの植物だった!?

突然ですが「冬の景色」と言われたら皆さまは何を思い浮かべるでしょうか。雪原やスキー場、クリスマスのイルミネーションなど色々考えられますが…中には「雪が積もった合掌造りの家」を思い浮かべる私のような方もいらっしゃるかと思います。ということで、今回は合掌造りの家に関する話題です。

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合掌造りの家は時に「茅葺き屋根」とも呼ばれ、その名のとおり茅(カヤ)という植物が使われています。実はこのカヤ、正体は皆さまの身近にもあるかもしれない“あの植物”なのだそうです。

 

 

合掌造りとは?

合掌造り(がっしょうづくり)とは日本の伝統的な建築様式の一つで、現在では白川郷(岐阜県)や五箇山(富山県)などの豪雪地帯で見かけることができます。骨組みとなる丸太を掌を合わせたような三角形に組み上げる工法を「合掌」と呼ぶことから、その名が付けられたとされています。

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急勾配の大きな屋根が特徴で、その傾斜は45〜60度程度で設計されています(※地域により異なります)。この傾斜については、雪下ろしの作業軽減や水捌け性能の向上を目的としているようです。

 

茅葺き屋根に使われる茅の正体は?

茅葺き屋根に使われるのはもちろん茅(カヤ)なのですが、実際のところ「カヤ」と呼ばれる植物は実在しません。というのも、茅とは「屋根を葺く草の総称」であり、特定の植物を指すものではないためです。

 

茅葺き屋根の材料として最も有名なのはススキで、このほか稲や葦(ヨシ)、チガヤをはじめとしたイネ科の植物が使われています。合掌造りの家の屋根はこれらの植物で葺かれているため「茅葺き屋根=合掌造りの家でしか見られない」と誤解されがちですが…茅葺き屋根(=植物で葺かれた屋根)自体は合掌造りに限らず、国内外で見かけることができます。

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茅葺き屋根の長所と短所

茅葺き屋根の長所は何といっても断熱性と通気性です。豪雪地帯の冬でも暖かく過ごせる断熱性はもちろんのこと、夏の間は涼しく感じられる通気性も持ち合わせています。このほか吸音性や保湿性にも優れており、これら全てを併せ持つ屋根は現代の建築技術をもっても再現が難しいとされています。

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一方で茅葺き屋根は火にとても弱く、一旦火事が発生してしまうとひとたまりもありません。また一般的な屋根に比べると耐用年数が短く、15年に1回程度は屋根を葺き替える必要があります。合掌造りの家の場合は1軒あたり数トンもの茅が使われており、葺き替えだけでもかなり大掛かりな作業となります。

 

ススキの概要

最後に、茅葺き屋根の材料の代表格であるススキについても簡単に触れておきます。

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科・属名:イネ科ススキ属

種別:多年草

花色:黄

花期:8〜10月

原産:日本、中国、朝鮮半島など

別名:オバナ(尾花)、カヤ(茅)など

花言葉:活力、生命力など

◎特徴:

日本をはじめとした東アジアを原産とする多年草で、日当たりの良い空き地などに広く分布しています。一度でも生えてしまうと駆除が難しくなるため「厄介な植物」のイメージもありますが、実は茅葺き屋根の材料や動物の飼料としても用いられる有用植物です。

また、葉の縁には鋸歯(きょし)と呼ばれる細かな凹凸を持つため、素手で触れると肌を傷付けてしまうこともあります。

 

◎ススキの概要は下記記事からの引用です

【十五夜】お月見にススキを供えるのはなぜ? - アタマの中は花畑