昨日、近所の用水路沿いでこんな写真を撮影しました。一見するとただの枯れ草に見えますが…。
拡大すると全部ツクシであることがわかります。それにしてもおびただしい数ですね…。高い塀を乗り越えた先に生えているため、採集に行けないのが少々難点です。どうせなら「春の味」を味わいたかったところです。
ちょうど今くらいの時期に見かけるツクシですが、食べているのは植物のどの部分にあたるのでしょうか?今回はそんなツクシの正体について少し触れてみたいと思います。
ツクシとスギナの違いについて
よく「スギナ」と呼ばれる植物がツクシとセットで扱われることがありますが、両者は同じ植物です。具体的には、スギナの胞子茎(一般的な植物の花・花茎にあたる部分)をツクシと呼び、スギナと呼んでいる部分は栄養茎(一般的な植物の葉・茎にあたる部分)を指しています。したがって、広い意味で言えば「ツクシはスギナの花」だということになります。
ツクシの「ハカマ」は何のため?
ツクシを収穫して調理する際、ハカマを取り除く作業が面倒に感じる方も多いのではないでしょうか。ツクシ1本につき数箇所に巻き付いているハカマですが、これには何の役割があるのでしょうか?
ツクシ(胞子茎)にはその名のとおり、先端に付いた胞子を飛ばして子孫を残す役割があります。しかしながら、胞子茎が成長を終える前に先端部分を傷めてしまっては意味がありません。そこで胞子茎をハカマ(葉が変形した部分)で覆うことにより、雨や風から胞子を守る効果が得られます。ハカマが効果を発揮するのは胞子茎が短い頃のみで、その後は成長に応じて徐々にその役目を終えていきます。「ツクシのハカマ=タケノコの皮のようなもの」と考えたら、少しイメージしやすくなるかもしれません。
なお、ハカマ自体は固くて食感も悪いため、調理の際は取り除いてしまうことがほとんどです。この際、予め水に浸しておいてから剥くようにすると若干取り除きやすくなるようです。
ツクシの収穫適期はいつ?
ツクシをよく観察してみると、大きく以下の2種類があることに気付きます。
①胞子を含み先端が緑っぽいツクシ
②胞子を飛ばし終え先端が黄色っぽいツクシ
一般的には①の方が風味が良く美味しいと言われていますが、胞子は独特の苦味を持つため好き嫌いが分かれることもあります。一方で②は風味こそ落ちますが、クセや苦味が少なく食べやすいです。したがって、ツクシの収穫適期は基本的に①ですが、人によっては②の方が良い場合もあると考えられます。
ツクシ(スギナ)の概要
科・属名:トクサ科トクサ属
種別:多年草
花色:─
花期:3〜4月
原産:北半球の温帯地域
別名:ジゴクソウ(地獄草)など
花言葉:向上心、驚きなど
◎特徴:
北半球の温帯地域を中心に広く分布する多年草で、日本でも日当たりの良い痩せた土壌などで見かけることができます。地下茎で増えるため一度定着してしまうと駆除が難しく、その根の深さからジゴクソウ(地獄草)と呼ばれることもあります。
「スギナ」という名前については、栄養茎の見た目が杉の木に似ていることが由来となっています。また「ツクシ」に関しては、スギナとセットで生えること(付く子→ツクシ)や、土を突き破るように生えること(突く子→ツクシ)など諸説あります。さらに、その見た目が筆に似ていることから漢字では「土筆」と表記します。