最近、ドクダミの花をよく見かけるようになりました。こちらの写真は近くの公園で撮影したものですが、我が家の敷地内でもしばしば見かける野草です。
ドクダミといえばドクダミ茶などの原料としても親しまれていますが、名前に「ドク」が付くため毒草だと勘違いしてしまう場合もあります。そもそも、毒草でもないのになぜ「ドク」が付けられるようになったのでしょうか?
ドクダミの概要
科・属名:ドクダミ科ドクダミ属
種別:多年草
花色:黄(※苞(ほう)は白色)
花期:5〜8月
原産:東アジア
別名:ジュウヤク(十薬)、ギョセイソウ(魚醒草)、ウマゼリなど
花言葉:白い追憶、野生など
◎特徴:
東アジア原産の多年草で、日本では北海道南部〜九州にかけて分布しています。反日陰〜日陰のやや湿った場所を好み、初夏〜夏にかけて黄色の花を咲かせます。ドクダミの花色は白だと思われがちですが、白い部分は総苞片(そうほうへん)と呼ばれる葉の一種で、本来の花は中央の黄色い部分が該当します(※小さな花の集合体)。また葉はハート型で、独特のニオイ成分を持ちます。
名前に「ドク」が付くのはなぜ?
名前だけ聞くと毒草のように思われがちですが、ドクダミは有毒成分を持たない植物です(無毒)。それにも関わらず、名前に「ドク」が付くのは一体なぜなのでしょうか?諸説ありますが、その理由は大きく2つあるとされています。
①毒や痛みに効果があるとされるため
ドクダミは古くから薬草として重宝されており、その用途の多さからジュウヤク(十薬)という生薬名が付けられています。そんなドクダミは毒や痛みにも効果を発揮することから「毒痛み(ドクイタミ)」や「毒矯め(ドクダメ=毒を抑える)」と呼ばれ、現在ではそれが訛って「ドクダミ」に変化したとされています。
②有毒植物だと勘違いされていたため
ドクダミといえばあの独特なニオイですよね。人によっては不快に感じるもしれないこのニオイが原因で、昔は有毒植物だと勘違いされることもあったようです。有毒成分を持つのでは?という理由から「毒溜め(ドクダメ)」と呼ばれ、こちらも同様にそれが訛って「ドクダミ」に変化したようです。
【余談】ドクダミのニオイ成分の正体は?
名前の由来(の1つ)にもなったニオイ成分の正体は、デカノイルアセトアルデヒドと呼ばれる精油成分です。デカノイルアセトアルデヒドには強力な殺菌・抗菌作用があり、肌荒れ・吹出物・火傷などに効果があります。
なお、デカノイルアセトアルデヒドは乾燥させると消失してしまうため、乾燥ドクダミには香りも殺菌・抗菌作用もありません。しかしながらクエルセチンやクエルシトリン(フラボノイド成分)を含んでおり、ドクダミ茶として煎じて飲むことにより利尿作用・動脈硬化予防・解熱などの効果が得られます。