早いもので8月に突入しました。8月といえばお盆や祭りを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、それらのイベントの中で松明(たいまつ)と呼ばれる木を燃やすことがあります。私の実家でもお盆の際に松明を燃やす風習があるのですが、この風習は主に東海地方で行われているみたいですね(※一般的には麻がらを用います。私の実家は愛知県なのですが、てっきりこれが当たり前だと思っていました。。。)。
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さて、松明といえばその漢字表記のとおり松の木を使うイメージですが…なぜ数ある樹木の中から松が選ばれたのでしょうか?今回はそんな松明について少し調べてみることにしました。
松明とは?
松明(たいまつ)とは、松の木のうち樹脂が多い部分を細かく割って布などで束ね、火を付けたもののことを指します。元々は照明として用いられていたもので、長い棒の先端に松の木を束ね、トーチ状にして使用するケースもあります。主な用途は照明のほか、祭りなどの神事、お盆の送り火/迎え火、葬儀などが挙げられます。
火を付けて使用することから当初は「焚き松(たきまつ)」などと呼ばれており、現在ではこれが変化して「たいまつ」になったようです(※諸説あります)。なお漢字表記である「松明」は当て字のため、漢字の並びと読み方は一致していません。
松の木が使われるのはなぜ?
漢字表記のとおり、松明には松の木が用いられます。火を付けて燃やすだけであれば他の木でも良い気がしますが、なぜ数ある樹木の中から松が選ばれるようになったのでしょうか?
実は松の木には多くの樹脂(松脂、松ヤニ)が含まれており、その油分の多さから着火しやすい性質があります(※)。この性質が松明としての利用用途と合致したことから、松の木が採用されるようになったと言われています。昔は松明として利用するため、庭に松の木を植えるケースもあったようです。
※例えばキャンプファイヤーや焚き火を始める際、一般的な木であれば木屑や着火剤を必要としますが…松であれば木だけでも簡単に着火します。私も送り火/迎え火として松の木を燃やす際、その着火のしやすさに驚いた記憶があります。また、天然の着火剤として松ぼっくりが重宝されるのも、同様の理由によるものと考えられます。
松の木以外が使われることもあるの?
松明といえば松の木が一般的ですが、必ずしも松が使われている訳ではありません。有名なところでは竹や葦が挙げられますが、やはりどちらも燃えやすい性質を持ちます。
また以前は麻木(おがら)を用いることもありましたが、大麻取締法の観点から現在ではほとんど使用されなくなりました。