暑さのピークを超えたのか、最近は朝晩を中心に幾分過ごしやすくなった気がします。日に日に秋が近付いているためか、実家の近所でも「秋の七草」の1つであるハギが見頃を迎えていました。
◎秋の七草についてはこちら
秋の七草とは?〜覚え方や意外な実用性をご紹介〜 - アタマの中は花畑
…と思いきや、今回私が見つけたのはハギではなくアレチヌスビトハギと呼ばれる植物だったようです。漢字では「荒地盗人萩」と記載するちょっと可哀想な植物ですが、一般的なハギとはどのような違いがあるのでしょうか?
ハギの概要
科・属名:マメ科ハギ属
種別:落葉低木
花色:赤紫、ピンク、白など
花期:7〜10月
原産:北アメリカ、東アジア
別名:ニワミグサ(庭見草)、ハツミグサ(初見草)など
花言葉:内気、思案、想いなど
◎特徴:
マメ科ハギ属に属する植物の総称で、代表的な品種としてはミヤギノハギやヤマハギが挙げられます(※本項目に掲載した写真はミヤギノハギです)。株元から枝が多数伸びる性質があり、その様子を表す「生え芽(はえき)」が名前の由来となっています。樹木の割に枝は細く、品種によっては開花時に枝が枝垂れることもあります。
ヌスビトハギの概要
科・属名:マメ科ヌスビトハギ属
種別:多年草
花色:ピンク
花期:7〜9月
原産:日本、朝鮮半島、中国など
別名:ドロボウグサ(泥棒草)など
花言葉:略奪愛など
◎特徴:
日本・朝鮮半島・中国などを原産とする多年草で、日本では北海道〜沖縄まで広く分布しています。木のように思われがちですが、冬季には地上部が全て枯れることなどから「草」に該当します。
ヌスビトハギの果実は節果と呼ばれる半円状の見た目をしており、2節(半円状の果実×2)で構成されています。この果実の見た目が盗人の足跡(地下足袋でつま先歩きをした時の足跡)に似ていることからその名が付けられました。果実の表面にはかぎ状の毛が生えているため「ひっつき虫」の1つとしても知られ、人知れず衣服に付着することを名前の由来とする説もあります。
◎ひっつき虫についてはこちら
【コセンダングサ】ひっつき虫と呼ばれるのはなぜ?理由は生存戦略にあった!? - アタマの中は花畑
アレチヌスビトハギの概要
科・属名:マメ科シバハギ属
種別:多年草
花色:ピンク
花期:9〜10月
原産:北アメリカ
別名:─
花言葉:略奪愛など
◎特徴:
北アメリカ原産の多年草で、日本では東方地方以南を中心に帰化しています(※北海道でも報告事例あり)。ヌスビトハギと同様、こちらも樹木ではなく「草」に該当します。
アレチヌスビトハギは見た目がヌスビトハギによく似ており、かつ荒地に分布することからその名が付けられました。繁殖力が旺盛で従来の生態系を壊す恐れがあるため、環境省の「生態系被害防止外来種リスト」にも掲載されています。
ハギ・ヌスビトハギ・アレチヌスビトハギの違いは?
今回取り上げたハギ、ヌスビトハギ、アレチヌスビトハギはそれぞれ属名が異なるため、いずれも異なる植物です。ここでは3種それぞれの特徴や違いについて簡単にまとめてみました。最も判別しやすいのは実ですが、花の大きさや葉の形状でも見分けることができます。
▲ハギ(ミヤギノハギ)の花(左)、ヌスビトハギの花(中央)、アレチヌスビトハギの花(右)
▲ハギ(ミヤギノハギ)の実(左)、ヌスビトハギの実(中央)、アレチヌスビトハギの実(右)
◎ハギの特徴(写真左)
※ここではミヤギノハギの特徴を記載
・マメ科ハギ属の落葉低木(樹木)
・実(節果)は1節で構成される
・花は赤紫色で直径10〜15mm程度
・葉は卵形で先端がやや尖っている
◎ヌスビトハギの特徴(写真中央)
・マメ科ヌスビトハギ属の多年草
・日本原産の植物
・実(節果)は2節で構成される
・花はピンク色で直径3〜4mm程度
・葉は卵形で先端がやや尖っている
◎アレチヌスビトハギの特徴(写真右)
・マメ科シバハギ属の多年草
・北アメリカ原産の帰化植物
・実(節果)は3節以上で構成される
・花はピンク色で直径7〜9mm程度
・葉は長卵形〜楕円形で細長い