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【野牡丹】ノボタンとボタンは同じ「牡丹」?両者の関係について - アタマの中は花畑
一昨日に投稿した記事の中で、ボタン(牡丹)の花について取り上げました。そんなボタンに関して「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」ということわざを耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このことわざは芍薬・牡丹・百合の可憐な花を「魅力的な美しい女性」に例えたものですが、よくよく調べてみるとルーツは少し異なるようです。そこで今回は、それぞれの花の概要とことわざのルーツをまとめてご紹介したいと思います。
シャクヤク(芍薬)の概要
科・属名:ボタン科ボタン属
種別:多年草
花色:赤、ピンク、白、黄など
花期:5〜6月
原産:アジア大陸北東部(東シベリア、中国、朝鮮半島など)
別名:富貴草(フウキソウ)など
花言葉:ピオニーなど
◎特徴:
アジア大陸北東部原産の多年草で、日本へは10世紀より前に渡来したと言われています。渡来当時は薬用植物としての利用が主でしたが、安土桃山時代以降は園芸植物としても楽しまれるようになりました。漢方薬の原料としても知られ、現在でも葛根湯などに調合されています。
名前の由来は、漢語である「芍薬」を日本語読みしたもの(シャクヤク)です。芍は抜きん出て美しい様子を表したもの、薬は薬用植物としての用途を表したもの言われています。このほか、しとやかで美しい様子を表す綽約(シャクヤク)を語源とする説もあります。
ボタン(牡丹)の概要
※牡丹の概要は冒頭の関連記事からの引用です。
科・属名:ボタン科ボタン属
種別:落葉小低木
花色:赤、ピンク、白、赤紫、黄など
花期:4〜6月
原産:中国
別名:富貴草(フウキソウ)など
花言葉:王者の風格、高貴、富貴、恥じらいなど
◎特徴:
中国原産の落葉小低木で、日本へは8世紀頃に渡来しました。渡来当時は薬用植物としての利用が主でしたが、江戸時代以降は園芸植物として急速に品種改良が進められました。
名前の由来は、漢語である「牡丹」を日本語読みしたもの(ボウタン、ボタン)です。このうち牡は雌しべ・雄しべが花弁に変化し、種子ができていく様子を表したもの、丹は赤い花を表したものと言われています(※諸説あります)。
ユリ(百合)の概要
科・属名:ユリ科ユリ属
種別:多年草(球根植物)
花色:白、黄、橙、赤、ピンク、黒など
花期:5〜8月
原産:北半球の亜寒帯〜亜熱帯地域
別名:カサブランカなど
花言葉:純粋、無垢など
◎特徴:
北半球の亜寒帯〜亜熱帯地域を原産とする多年草で、日本ではヤマユリ、ササユリ、スカシユリなどの固有種が自生しています(※掲載した写真はササユリです)。品種によって花の形状は異なりますが、多くの品種は夏に漏斗状の花を咲かせます。ユリの球根は鱗茎(りんけい)と呼ばれ、一部の品種は百合根として食用にすることもあります。
別名の1つにカサブランカがありますが…厳密にはユリが「ユリ科ユリ属全般」を表すのに対し、カサブランカは「ユリの中の1分類」を指します。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」のルーツは?
冒頭でも触れたとおり、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は立っても座っても歩いても魅力的な女性を例えたことわざです。現在ではこのような意味で知られていますが、そのルーツは「女性」ではなく「漢方薬」だとする説もあります。というのも、芍薬・牡丹・百合には薬用効果があり、立っている人・座っている人・歩いている人にそれぞれ有効とされています。
◎芍薬
・気が「立っている人」のイライラを鎮める、あるいは「立っている人」に起きやすい筋肉の強張りや痛みを和らげる効果あり
◎牡丹
・長い時間「座っている人」に対して、血流を改善する効果あり
◎百合
・フラフラ「歩いている人」に対して、動悸・不安・不眠などを解消する効果あり
【余談】芍薬と牡丹の違いは?
概要欄でも触れたとおり、芍薬と牡丹はどちらもボタン科ボタン属の植物です。近年では芍薬を台木(=接木の土台)にした牡丹が多く流通しており、両者がよく似た品種であることが伺えます。しかしながら、芍薬は冬に地上部が全て枯れる草(多年草)、牡丹は冬でも枝が残る樹木(落葉低木)という大きな違いがあります。また花に関しても牡丹の方が一回り大きく、開花期でも両者を見分けることができます。
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