久々にスマホ内を整理していたところ、本ブログで取り上げようと思いつつすっかり忘れていた写真を見つけました。それがこちらのカラスビシャクと呼ばれる野草です。
カラスビシャクの名前自体は小さい頃から知っていたのですが、父親からは「雷のへそ」という名で教えられた記憶があります。一見すると「へそ」の要素は全く見当たらないのですが、カラスビシャクとヘソには何か関係があるのでしょうか?
カラスビシャクの概要
科・属名:サトイモ科ハンゲ属
種別:多年草
花色:緑
花期:5〜8月
原産:日本、中国、朝鮮半島
別名:ハンゲ、ヘソクリ、ヘブスなど
花言葉:心落ち着けてなど
◎特徴:
日本・中国・朝鮮半島を原産とする多年草(※)で、日本では北海道〜沖縄の半日陰に広く分布しています。花弁のように見える部分は花ではなく、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞(=葉が変形したもの)の一種です。この仏炎苞が(人間にとっては使い物にならない)カラスが使うような柄杓に見えることから、カラスビシャクという名が付けられました。一旦定着してしまうと駆除が難しく、北アメリカでは侵略的外来種として扱われています。
一見すると三つ葉のようにも見えますが、カラスビシャクは有毒植物なので注意が必要です。誤って食べてしまった場合、喉の痛みや腫れなどを引き起こすことがあります。
カラスビシャクの「へそ」の正体は?
冒頭のカラスビシャクは実家の敷地内で見つけたものなので、試しに1本抜いてみることにしました。途中で根が切れてしまったものの、茎の末端に何やら突起物のようなものが付いていることがわかります。
突起物の正体は根茎(=球根の一種で、地下茎が肥大したもの)で、この部分こそが冒頭で触れた「へそ」に該当します。
なお、カラスビシャクの根茎を乾燥させたものは生薬の半夏(はんげ)として知られています。半夏は嘔吐・消化不良などに効果がありますが、概要欄でも触れた通り元々は毒性のある植物なので取り扱いにはやや注意が必要です。生薬として用いる場合は炮製(ほうせい)により有効成分を抽出したり、生姜などとセットで服用することにより毒性を中和したりします。
実は「ヘソクリ」の語源だった!?
カラスビシャクの別名の一つに「ヘソクリ」がありますが、これは茎がヘソのように凹んだ部分に栗のような根茎を形成することに由来します。「ヘソクリ」と言えば、現在では内緒でお金を貯めることを意味しますが…実はこのカラスビシャクが語源だったようです。
カラスビシャクの根茎は生薬(半夏)の原料になるため、以前より高値で取引されていました。そのため、農家がカラスビシャクの根茎を集めて小金稼ぎをしていたことが、現在の「ヘソクリ」の由来になったと言われています。