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秋も深まり、近所の宅地(予定地)で見られる野草にも徐々に変化が見られるようになりました。8月にはオヒシバ、9月にはイヌタデを取り上げましたが…現在よく見られるのはこちらの野草です。葉だけの頃はススキかと思い込んでいたのですが、花穂が顔を出してようやくセイバンモロコシであることに気付きました。
ススキ・セイバンモロコシはともにイネ科の野草ですが、イネ科の植物の葉を触っていると手を切ってしまうことがありますよね。他の植物にはあまり見られない特徴ですが、なぜイネ科の葉だけ手を切りやすいのでしょうか?
セイバンモロコシの概要
科・属名:イネ科モロコシ属
種別:多年草
花色:紫がかった褐色
花期:7〜9月
原産:地中海沿岸
別名:ジョンソングラスなど
花言葉:唯我独尊、他を圧してなど
◎特徴:
地中海沿岸原産の帰化植物で、日本では1943年に千葉県で初めて発見されました。繁殖力が非常に高く、本州〜九州を中心に広く分布しています。英名ではジョンソングラスと呼ばれ、これはジョンソンさんという方が牧草の候補としてこの草を選んだことに因んでいます。しかしながら、セイバンモロコシは有毒成分(シアン化水素)を含むため牧草には不向きと言われています。
イネ科の植物の葉で手が切れるのはなぜ?
今回ご紹介したセイバンモロコシをはじめ、ススキやチガヤ、竹、トウモロコシなどは全てイネ科に属しています。イネ科の植物と言えば細長くて尖った葉が特徴ですが、この葉を触ろうとして手を切ってしまった…という経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も小さい頃、ススキがたくさん生える草原に半袖半ズボンで入り込んだことで、手や足のあちこちにミミズ腫れができてしまったことがあります。数ある植物の中で、イネ科の葉だけ肌を切りやすいのは一体なぜなのでしょうか?
これにはイネ科の植物の葉に含まれるケイ素が深く関係しています。ケイ素はガラスの主成分としてもお馴染みで、イネ科の植物はケイ素を多く含むことで葉の硬さを保っています。他の植物に比べて、イネ科の植物の葉が直立しているのもケイ素の働きによるものです。
イネ科の植物の葉は硬いことに加えて、その縁にはケイ素を主成分とする細かな凹凸を持っています。言い換えると、葉の周りにガラス製のノコギリを付けているようなものであるため、軽く触れただけで手を切ってしまう…というわけです。
紙で手を切るのと同じ!?
実は、イネ科の植物以外にも同じような特徴を持つものがあります。それが、皆さまの身近にもあるであろう紙です。紙の縁にも繊維質による細かな凹凸があり、イネ科の植物と同様に触ると手を切ってしまうことがあります。特に、神経の多い指先は切ると痛みを感じやすいため、イネ科の植物や紙を触る際は「目に見えないノコギリ」に十分注意しましょう。