突然ですが、皆さまは「寒い地域に生える木」と言ったら何を連想されますでしょうか。スギやマツといった針葉樹はその代表格で、一説には広葉樹との生存競争に負けたことで、他の植物が生育できない寒い地域に移ったとされています。
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それでは広葉樹ではどうでしょうか。例えばサハリン南部〜千島列島(+北海道、本州の高地)に分布するチシマザクラは落葉樹で、日本では「最も遅く開花する桜」としても知られています。
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だいぶ前置きが長くなりましたが…もし私が同じ質問を受けたとしたら、きっと白樺(シラカバ)と答えている気がします。白樺といえば白い幹が特徴で、冬の雪景色にもよくマッチしています。
ところで…先程取り上げたスギ、マツ、チシマザクラの幹は茶色なのに、なぜ白樺だけ幹が白いのでしょうか?
白樺(シラカバ)の概要
科・属名:カバノキ科カバノキ属
種別:落葉高木
花色:黄褐色
花期:4〜5月
原産:東アジアの温帯北部
別名:シラカンバなど
花言葉:いつまでもあなたを待ちます、忍耐強さ、光と豊富、柔和など
◎特徴:
東アジアの温帯北部を原産とする落葉高木で、日本では北海道〜本州中部にかけて分布しています。カバノキ科の樹木のことを「カンバ」と呼び、かつ白い幹を持つことから「白いカンバの木=シラカンバ」と名付けられました(※そのため、正式名称もシラカンバです)。
冷涼な気候を好みますが、元々丈夫な樹木であるため、暖地でも庭木として育てることは可能です。但し、寒冷地に比べると幹の色付きは悪く、寿命も短くなってしまうようです。
幹が白いのはなぜ?
白樺の特徴といえば何と言っても真っ白な幹で、遠くから見ても白樺の木であることを区別することができるほどです。他の樹木にはなかなか見られない特徴ですが、なぜ白樺の幹は白いのでしょうか?
これにはベチュリンと呼ばれる白い結晶性の物質が深く関係しています。白樺をはじめとするカバノキ科の樹木には元々ベチュリンが多く含まれ、その中でも白樺は特に含有量が多いため幹が白く見えるのだそうです。白樺の幹を触ると指先が白く変色することがありますが、この白い物質の正体こそがベチュリンです。なお、木の成長とともにベチュリンの含有量も多くなるため、幼木に比べて十分に成長した成木の方がより幹が白っぽく見える点も特徴です。
それではなぜベチュリンを多く含んでいるのか?という点については、実はあまり解明されていません。例えば以下のような説が挙げられますが、どれも推測の域を出ないようです。
・寒さに耐えるため?
・雪に同化して動物の食害を防ぐため?
・逆に動物達を寄せ付けるため?
・光合成の効率を上げるため?
・他の植物との生存競争に打ち勝つため?など
白樺の種をまいて育ててみよう!
先日山梨県へ旅行に行った際、運良く白樺の実を拾うことができました。てっきりドングリのような実を付けるのかと思いきや、ハンノキの実を縦に伸ばしたような見た目をしていました。
▲白樺の実
▲ハンノキの実(参考)
乾燥した実を手でほぐしてみると、いとも簡単にバラバラにすることができました。この1つ1つが白樺の種で、種子の周りに付いた羽によって遠くまで運ばれます。
せっかくなので、空いていた鉢に先程ほぐした種をパラパラとまいてみました。概要欄で触れたとおり、暖地でも育てられるようなので…このまま「実生白樺」に挑戦できないかなと考えています。
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(翌春に無事発芽したら更新)