年末年始に実家へ帰省した際、寒空の下で葉を真っ赤に染める木を見つけました。この木はオタフクナンテンと呼ばれる樹木で、名前の通りナンテンの一種です。
こちらの写真の通り、オタフクナンテンは真冬でも葉を落とさない常緑樹なのですが…まるで落葉樹かのように葉を紅葉させます。「常緑樹は葉をほとんど紅葉させない(落葉直前の葉を除く)」というのが私の勝手なイメージだったのですが、常緑樹でも木全体が紅葉することはよくあるこのなのでしょうか?
オタフクナンテンの概要
科・属名:メギ科ナンテン属
種別:常緑低木
花色:白
花期:5〜6月
原産:日本
別名:オカメナンテン、ゴシキナンテンなど
花言葉:よい家庭、私の愛は増すばかりなど
◎特徴:
ナンテン(南天)の園芸品種で、江戸時代に作出されました。ナンテンとは異なりほとんど花や実を付けないため、主に葉を鑑賞する目的で植えられています。葉の鮮やかさからゴシキナンテン(五色南天)と呼ばれることもあります。
樹高がとても低く(30〜50cm程度)、かつ冬には葉を変色させるため、グランドカバーとしても人気が高いです。
名前の由来は?
「オタフクナンテン」という名称は、その葉の形状に由来しています。ここでナンテン(左)とオタフクナンテン(右)の葉を並べてみると、オタフクナンテンの方が丸くふっくらしていることが分かります。この丸くふっくらした葉をオタフク(顔立ちが丸く頬がふっくらした女性の顔)に見立て、現在の名称になったと言われています。
また、オタフクナンテンは非常に演技の良い植物としても知られています。オタフクは「お多福」、ナンテンは「難を転ずる=困難を転じて福とする」という意味が込められていることからも、その縁起の良さが伺えます。
常緑樹なのに葉が紅葉するのはなぜ?
ここで冒頭の内容に戻りますが、常緑樹であるオタフクナンテンはなせ落葉樹かのように紅葉するのでしょうか?
紅葉の仕組みについて調べてみると、一般的な落葉樹の紅葉は「落葉の手続きの一環」として、オタフクナンテンの紅葉は「ストレス反応」によって生じていることがわかりました。オタフクナンテンの場合は春を迎えれば元の緑色に戻るため、常緑樹らしい紅葉と言えるのかもしれません。
◼︎一般的な紅葉
・気温の低下に耐えられなくなった葉から枝へ養分を送る際、葉に残ってしまった養分がアントシアニン(赤色の色素)に変換されることで赤く変色する。この際クロロフィル(葉緑素)も分解されるため、再度光合成を行うことはできずそのまま落葉する。
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◼︎オタフクナンテンの「紅葉」
・葉が寒さを感じた際のストレス反応によりアントシアニンが生成され、赤く変色する(≒寒さに耐え凌ぐためにアントシアニンを生成する)。この際クロロフィルは分解されないため冬の間も落葉せず、春を迎えると(アントシアニンが分解され)再び元の緑色に戻る。
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