アタマの中は花畑

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【食虫植物】わざわざ虫や小動物を捕食するのはなぜ?

本ブログでは主に植物の話題を取り上げていますが、その大半は食物連鎖(植物→虫・小動物→大型動物)の最下層に甘んじています。そんな植物達の中には、葉や茎に棘を生やしたり、有毒成分を含んだりすることで虫や小動物から自らを守っている品種もあります。

 

ところが、この食物連鎖自体をひっくり返してしまう植物も少なからず存在します。その代表格が「食虫植物」と呼ばれる植物なのですが、一体なぜ虫を食べるようになったのでしょうか?

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食虫植物とは?

食虫植物とは、その名の通り虫や小動物と捕らえて自らの養分に変える能力(食虫習性)を持つ植物の総称です。葉・茎・花などが捕虫器官となっており、おびき寄せた虫や小動物を捕獲・消化・分解することで自らの養分へと変えていきます。そのため、虫を捕らえるだけで消化まではできない品種に関しては、厳密には食虫植物とは呼びません。

 

世界中には約500種類の食虫植物が存在すると言われ、代表的な品種としてはウツボカズラやハエトリグサが挙げられます。日本にはそのうち20種類強が自生しており、モウセンゴケ、タヌキモ、ムシトリスミレなどを見かけることができます。

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▲ウツボカズラ

 

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▲ハエトリグサ

 

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▲モウセンゴケ

 

わざわざ虫や小動物を捕食するのはなぜ?

食虫植物の多くは湿地や荒地などに多く分布しています。…と言うとまだ聞こえは良いのですが。他の植物との生存競争に負けた結果、痩せた土壌に追いやられてしまったというのが実情のようです。何だか、広葉樹との生存競争に負けた針葉樹が寒い地域に分布するようなった理由とよく似ていますね。

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【雑談】針葉樹は寒い地域、広葉樹は暖かい地域に分布するのはなぜ? - アタマの中は花畑

 

もちろん痩せた土壌では成長に必要な養分が十分に得られないため、養分を補う手段として虫や小動物を捕食するようになったと言われています。これも、食虫植物なりの生きる知恵なのかもしれないですね。

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虫を与えなくても成長できるの?

食虫植物自身は根を張った場所から動けないため、自らの力で虫や小動物をおびき寄せる必要があります。生物が多く生息する地域であれば食べ物にも困りませんが、もちろんそんなに都合の良いことばかりではありません。仮に虫や小動物が全く捕食できない環境だった場合、食虫植物は成長することが出来るのでしょうか?

 

調べてみたところ、虫や小動物がいなくても食虫植物が成長すること自体は可能なようです。食虫植物も列記とした植物の一種ですので、光合成によって自ら養分を作り出すことができます。そのため、長期間虫や小動物を捕食できなかったとしても、自ら作り出した養分によって緩やかに成長していきます。但し、得られる養分の総量が少なくなるため、通常に比べてサイズの小さな個体になってしまうケースもあるようです。

 

栽培中に虫や小動物を与える必要はあるの?

ここまでの内容を踏まえると、私達が観賞用として栽培する際も虫や小動物を与えないといけないの?…と思ってしまいますが、もちろんそんな必要はありません。観賞用として栽培する場合は自生地よりも良い環境であることが大半なので、光合成だけでも十分に成長することができます。

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逆に肥料を与え過ぎた場合、今度は植物自身が「これだけ養分があれば虫や小動物を捕食する必要はない」と判断してしまいます。その結果、捕食器官が退化して本来とは異なる見た目に変わってしまうこともあるため、栽培の際はあまり肥料を与えずに育てるのが良いとされています。


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