今回は、夏の風物詩の1つでもあるスイカに関する話題です。
今シーズンは我が家でもスイカ(黄色の小玉スイカ)を育てたのですが…想像以上に小さかったため、その後新たにもう1個購入してきました。購入したスイカは息子達と美味しくいただいたのですが、特に長男が種を気にする素振りを見せていました。
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そんなスイカの種と言えば「飲み込むと、おへそから芽が出てくるよ」と脅かされたことのある方も多いのではないでしょうか。私も小さい頃父によく言われていたのですが、これって本当のことなのでしょうか…?
スイカの種を飲み込んだら体内で発芽するの?
早速結論から入りますが、スイカの種が体内で発芽することは基本的にありません。スイカの種はとても頑丈にできているため、万が一飲み込んでしまったとしても外側の黒い殻(種皮)すら消化できずにそのまま排泄されてしまうことがほとんどです。
またスイカに限った話ではありませんが、植物の種が発芽するためには温度・水・酸素の3要素が必要不可欠です。このうち温度と水に関しては体内でも何とかなるかもしれませんが…酸素だけは供給が難しいため、やはり発芽は難しいと言わざるを得ません。
(※仮に種皮のない状態で体内に入り込み、かつ温度・水・酸素の3要素が揃っていたとしても、発芽の準備が整う前に排泄されてしまうようです)
スイカの種は身体に悪いの?
スイカの種を誤って飲み込んでしまったとしても、体内で発芽しないことはわかりました。それであれば果肉と一緒に食べてしまいたくなりますが、実際のところスイカの種を食べること自体は問題ないのでしょうか?
調べてみたところ、スイカの種にはタンパク質、葉酸、マンガン、亜鉛、リノール酸、オレイン酸などの栄養素が豊富に含まれており、むしろ身体に良い食べ物なのだそうです。外側の黒い種皮は食用に向きませんが、内側の白い胚乳を炒ればナッツのような感覚でいただくことができます。なお中国ではスイカの種を食用とする文化があり、種が大きくなるよう改良された品種も流通しています。
「種なしスイカ」の作り方
スイカの種は栄養価が高く、食用としている国もあるほどですが…私にとってはまだまだ「食べる際にわざわざ取り除かなければならないもの」というイメージが強いです。そんな私のような人のため、最近では「種なしスイカ」と呼ばれる商品も流通しています。
「種なしスイカ」と言ってもそのような名前の品種がある訳ではなく、以下のような手法により人為的に作り出しています。
①発芽したばかりのスイカの芽に「コルヒチン」と呼ばれる植物ホルモンを与える方法。その後、コルヒチン処理したスイカの雌しべと通常のスイカの雄しべを交配させて種を作る。この種をまいて育てることで「種なしスイカ」を収穫することができる。
→②に比べて大量生産が可能だが、通常のスイカに比べて風味はやや劣ると言われている。またコルヒチンが有毒であることもあり、日本ではあまり生産されていない。
②スイカの雄しべにX線(放射線の一種)を照射し、花粉の生殖能力を失わせる方法。その後、X線を照射した花粉と通常のスイカの雌しべを受粉させることで「種なしスイカ」を収穫することができる。
→①のような懸念事項はないが、受粉に手間を要するため高値で取り引きされている。
このほか、種自体のサイズを小さくするための品種改良も進められました。例えばピノ・ガールと呼ばれる品種は、一般的な小玉スイカと比べて種の大きさが1/4ほどしかありません(※このような品種をマイクロシード小玉スイカとも呼びます)。種が非常に小さいため、そのまま食べてもほとんど気にならないのだそうです。