先週末、久し振りに1人の時間ができたので近所の公園へ花を観賞しに出掛けました。お目当てはハナショウブ(花菖蒲)だったのですが…ハナショウブに関しては以前の記事でも取り上げているため、当日撮影した別の花にスポットを当ててみたいと思います。
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ということで、今回ご紹介するのはランタナと呼ばれる植物です。ランタナの花色と言えばピンクや黄色をまず思い浮かべますが、実際には開花からの経過時間に応じて花色を変えているのだそうです。観賞している側からすれば、花色の多い方が見栄えも良く感じて有難いのですが…そもそもなぜ色を変える必要があるのでしょうか?
ランタナの概要
科・属名:クマツヅラ科シチヘンゲ属
種別:常緑小低木
花色:ピンク、赤、橙、黄、白など
花期:6〜7月
原産:中南米
別名:シチヘンゲ(七変化)など
花言葉:心変わり、協力、合意など
◎特徴:
中南米(熱帯アメリカ、亜熱帯アメリカ)原産の常緑小高木で、日本へは江戸時代末期に観賞用として渡来しました。寒さにやや弱く、地域によっては切り戻し・鉢上げなどを行わないと越冬が難しい反面、温暖な地域(沖縄県や小笠原諸島)では野生化してしまうほど繁殖力が旺盛です。一度移入してしまうと駆除が難しいことから、世界の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
花色が変わる仕組みについて
冒頭でも少し触れた通り、ランタナには開花からの開花時間に応じて花色を変える少し変わった性質があります。その性質からシチヘンゲ(七変化)とも呼ばれ、花言葉の「心変わり」に関しても花色の移り変わりが由来となっています。
ランタナの花色が変わる理由については、主に花弁に含まれる色素が関係しています。まず、植物に含まれる色素は大きく以下の4系統に分けられ、花色に関してもこれらの色素のバランスによって決まっています。
・フラボノイド(赤、紫、青系統)
・カロテノイド(黄、橙、赤系統)
・ベタレイン(黄、赤、紫系統)
・クロロフィル(緑系統)
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ランタナの花に関しては、最初カロテノイド系の色素(黄系統)が多く含まれているものの、開花からの時間経過に応じて徐々に減少する性質があります。これに代わってアントシアニン(フラボノイド系色素の一種、赤〜紫系統)が増加するため、開花直後は黄色だった花が徐々にピンクや赤へと変色していきます。ランタナの花は通常外側から開花するため、見頃を迎えた花であれば外側は赤〜ピンク系統、内側は黄系統であることが多いです。
花色が変化するのはなぜ?
ランタナの花色が変化する理由についてはあまりはっきりしていないようですが、一説には受粉の効率を高めるためではないか?と言われています。
植物の多くは昆虫などの力を借りて受粉を行っていますが、白や黄色の花に対して、ピンクや赤の花は昆虫に認識されにくいようです(※自然界でピンク〜赤系統の花が少ないのはこのためです)。そのため、開花から時間が経過した「古い花」を敢えて赤っぽくすることによって、開花したばかりの「新しい花」に昆虫をおびき寄せている…という説が有力です。
ちなみに、似たような性質を持つ植物としてハコネウツギ(スイカズラ科タニウツギ属)が挙げられます。ハコネウツギも開花直後は白っぽい色をしていますが、時間の経過とともに徐々に赤みを帯びていきます。今までは「たくさんの色の花が咲いて綺麗だなー」くらいにしか考えていませんでしたが、昆虫目線で花を観察してみると、また新しい発見ができるかもしれません。
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