先週末、近くの公園で長男とアスレチックを楽しんでいたところ、そのコース沿いに白っぽい花らしきものを見かけました。近付いて観察みたところ、ハンゲショウと呼ばれる植物であることがわかりました。
先程私が敢えて「花らしきもの」と記載したのは、この白っぽく見える部分の正体が花弁ではなく、葉が変色したものだったからです。どうやら突然変異ではないようですが…ハンゲショウの葉が白く変色するのは一体なぜなのでしょうか?
ハンゲショウ(半夏生・半化粧)の概要
科・属名:ドクダミ科ハンゲショウ属
種別:多年草
花色:白(※厳密には花弁なし)
花期:6〜8月
原産:東アジア
別名:カタシログサ(片白草)、 サンパクソウ(三白草)など
花言葉:内に秘めた情熱、内気など
◎特徴:
東アジア原産の多年草で、日本では東北〜沖縄地方にかけて分布しています。夏に開花する花には花弁や萼がありませんが、周辺の花が白く変色することにより大きな花のようにも見えます。この際、葉の半分だけが白く変色することからハンゲショウ(半夏生、半化粧)と名付けられました(※)。また生薬としても知られ、利尿・解毒・解熱の3つの作用を持つことからサンパクソウ(三白草)とも呼ばれます。
※白く変色する割合は葉によってさまざまで、葉の全てが白く変色するケースもあれば、一部しか変色しないケースもあります。
葉が白く変色するのはなぜ?
ハンゲショウの葉が白く変色するのは、昆虫達を誘き寄せるためだと言われています。ハンゲショウは昆虫達の力を借りて受粉を行う虫媒花(ちゅうばいか)ですが、その花には花弁や萼が無く、そのままではほとんど目立ちません。そこで葉の一部を白く変色させ、花弁のように見せることで虫達を誘き寄せていると言われています。昆虫達にとって白は視認しやすい色であるため、その効果も大きいと考えられます。
◎関連記事はこちら
【雑談】花に含まれる色素について〜「黒い花」は実在しなかった!?〜 - アタマの中は花畑
なお、葉が白く見えるのは葉緑素をほとんど含まないためだと言われています。 一般的な葉は葉緑素(クロロフィルなど)の存在により緑色に見えるのですが、白い部分では葉緑素が生成されず、本来の色が抜けてしまうのだそうです。「葉緑素をほとんど含まない」と言う点では、斑入りの葉とも共通しています。
◎関連記事はこちら
【斑入り植物】葉に白い斑(ふ)が入るのは何故?その正体は? - アタマの中は花畑
花が咲き終わった後、葉はどうなるの?
ここまでの内容から、「虫達を誘き寄せるため、花が咲く頃に葉の半分が白く変色する」というところまでは分かりました。それでは、花が咲き終わった後の葉は一体どうなるのでしょうか?
調べてみたところ、花期を終えた葉は徐々に元の緑色に戻っていくようです。花が咲いている頃は虫達を誘き寄せるために白く変色しているものの、葉を伸ばしている本来の目的は光合成を行うことです。そのため、花が咲き終わると元々白かった部分でも葉緑素が生成され始め、いずれは他の部分と遜色ない緑色に変色します。
なお、花期に葉の全てではなく、半分程度しか白く変色させないのも光合成が関係しています。葉の全てを白く変色させるとその分光合成の効率も落ちてしまうため、半分程度のみ変色させることでその影響を最小限に抑えている…とも言われています。