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【待宵草】日本で見かけるマツヨイグサ〜それぞれの特徴・違いについて〜 - アタマの中は花畑
今回は、先日投稿したマツヨイグサ(待宵草)に関する記事の続きです。マツヨイグサは 夕方〜夜(宵)を待つように開花することからその名が付けられましたが、同じような理由で「ツキミソウ(月見草)」という別名も付けられています。
ただ正直なところ…「ツキミソウ」と言われると、マツヨイグサではなく別の植物を連想してしまいます。そこで今回は、ツキミソウとマツヨイグサの定義についてそれぞれ整理してみることにしました。
ツキミソウ(月見草)の定義
マツヨイグサ(後述)と同様、ツキミソウもアカバナ科マツヨイグサ属に属する植物です。ただこちらは特定の品種を指すケースが多いため、まずは品種としてのツキミソウの概要をご紹介します。
科・属名:アカバナ科マツヨイグサ属
種別:二年草または多年草
花色:白、ピンク
花期:6〜9月
原産:メキシコ
別名:ツキミグサ(月見草)、シロバナヨルザキツキミソウ(白花夜咲月見草)など
花言葉:無言の愛情、ほのかな恋、移り気など
◎特徴:
メキシコ原産の二年草または多年草で、日本へは江戸時代に観賞用として渡来しました。夕方に白い花を咲かせ、翌朝にはピンクに変色した上で萎んでしまいます(=一日花)。元々は昆虫達の力を借りて受粉を行う虫媒花ですが、昆虫達による受粉が正常に行われなかった場合は自ら雄しべを伸ばし、自家受粉を行うことも可能です。
マツヨイグサ(待宵草)の定義
マツヨイグサに関しても、分類上はアカバナ科マツヨイグサ属に属する特定の品種(Oenothera stricta)を指しています。ただ一般的には、冒頭の記事で取り上げたオオマツヨイグサ、コマツヨイグサ、メマツヨイグサなども含む植物の総称を表すことが多いようです。この場合、マツヨイグサは「アカバナ科マツヨイグサ属に属する植物のうち、黄色い花を咲かせる品種の総称」と定義されることになります。 本記事のテーマでもあるツキミソウとの違いについては、花色で容易に判別することができます(ツキミソウは白〜ピンク、マツヨイグサは黄色の花を咲かせる)。
▲ツキミソウ(左)とマツヨイグサ(右)
ちなみにツキミソウと言えば、富嶽百景(太宰治、1939年)に登場する「富士には、月見草がよく似合ふ」の一文が有名です。こちらも白〜ピンクの花を連想してしまいがちですが…作品中で「 ちらとひとめ見たその黄金色の月見草」と言及されていることから、マツヨイグサを指しているものと考えられます。
昼に開花するツキミソウ!?
ツキミソウとマツヨイグサはいずれも夕方〜夜に開花することからその名が付けられましたが、中には日中に開花する品種も存在します。代表的な品種としてはヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)が挙げられ、その名の通り日中に開花する性質を待ちます。また、ツキミソウやマツヨイグサは開花翌朝には花が萎んでしまう一日花ですが、ヒルザキツキミソウは開花から2〜3日程度は花を楽しむことができます。ヒルザキツキミソウも各地で帰化していますが、園芸用としても依然として人気が高いです。
▲ツキミソウ(左)とヒルザキツキミソウ(右)
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