先日、近所のスーパーで安売りしていたアマランサスを妻が購入してきました。我が家ではしばしば雑穀米を食べるのですが、アマランサス単体で購入するのは初めてかもしれません。早速お米に混ぜて炊き、大人は美味しくいただいたのですが…長男からは「何かブツブツが入ってる…」と言われ、やや不評な結果となりました。
(※写真はイメージです)
雑穀米に入っている穀物としては麦や黒米(古代米)などを思い浮かべますが、その中でもアマランラスは最も小さい部類に入ります。普段から雑穀米を食べていたとしても、小さなアマランサスだけが混ざっていたら「ブツブツが入ってる」と言われてしまっても無理ないかもしれないですね。
ということで今回は、雑穀米の原料としても知られるアマランサスについて少しだけご紹介したいと思います。
アマランサスの概要
科・属名:ヒユ科ヒユ属(アマランサス属)
種別:一年草
花色:赤、ピンク、橙、紫、緑など
花期:7〜9月
収穫期:8〜10月
原産:南アメリカ
別名:アマランス、ヒモゲイトウ(紐鶏頭)など
花言葉:粘り強い精神、不滅、不老不死など
◎特徴:
ヒユ科ヒユ属(アマランサス属)に属する植物の総称で、日本ヘは江戸時代に渡来しました。渡来当初は「ヒモゲイトウ(紐鶏頭)」の名称で観賞用として栽培されていましたが、江戸時代末期には食用としての栽培も始まったと言われています。
アマランラスの語源はギリシャ語で萎れない、色褪せないなどを意味する「アマラントス」で、花言葉に関してもこの性質に関連したものが多数付けられています。ドライフラワーへの加工も可能で、そのまま乾燥させるだけでも数ヶ月間は花色を楽しむことができます。
アマランサスをご飯に混ぜるのはなぜ?
私達が普段雑穀(雑穀米)として食べているアマランサスは種子にあたります。アマランサスの種子は直径1〜1.5mmほどで、雑穀に用いられる穀物の中では最も小さい部類に入ります。チアシードのように水で膨らむ訳でもないため、摂取したところでお腹の足しにはならないと思うのですが…それでもアマランサスが雑穀として重宝されるのには何か理由があるのでしょうか?
アマランサスの歴史は意外と長く、紀元前6世紀頃には食用としての栽培が始まっていたとされています。乾燥地帯や痩せた土壌でも育てられるため、(アマランサスの起源と言われる)中南米のアステカ文明では重要な食糧源として長く利用されてきました。現在でもその持続可能性に期待がかかっており、世界各地で栽培されています。
そして、近年ではその栄養価の高さでも注目が集まっており、スーパーフードと呼ばれることもあります。アマランサスにはタンパク質や食物繊維のほか、カルシウム・マグネシウム・鉄分・亜鉛をはじめとしたミネラル、ビタミンB群などが豊富に含まれています。例えば白米と比較した場合、鉄分の含有量は約10倍、マグネシウムは約11倍、食物繊維は約13倍で、カルシウムに至っては約32倍も含まれています。この並外れた栄養価により、老化防止、免疫力向上、便秘改善などに効果を発揮します。 また良質な植物性タンパク質が豊富に含まれているため、ビーガンやベジタリアンの方にも適しています。したがって、粒の小さなアマランサスが雑穀として重宝されている背景には、この栄養価の高さが関係していると言えそうです(※)。
※本記事ではご飯に混ぜる用途で取り上げていますが、実際にはサラダ、スープ、ヨーグルト、パスタなどさまざまな料理に用いられます。 アマランサスは味にクセが無いため、数ある雑穀の中でも特に食べやすい部類に入ります。
【余談】穀類と擬似穀類について
本記事ではアマランサスのことを「穀物(穀類)」としてご紹介してきましたが、厳密には穀類でありません。穀類とはイネ科の植物の種子を指すため、ヒユ科に属するアマランサスの種子は穀類とは異なります。このように、イネ科ではないものの穀類のように扱われる種子のことを「擬似穀類」と呼びます。
擬似穀類に該当する植物としてはアマランサスのほか、キヌア(ヒユ科)やソバ(タデ科)などが挙げられます。