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8月下旬に線香・すだれの原料(素材)についてそれぞれご紹介しましたが、今回も懲りずに「原料シリーズ」をお送りします。今回取り上げるのはこちらの割り箸です。
割り箸は木や竹で作られており、竹製のものであれば簡単に見分けがつくのですが…木製のものに関しては何の木から作られているか、ほとんど見当が付きません。実際のところ、割り箸の原料にはどのような木が用いられているのでしょうか?
割り箸の原料について
早速結論から入りますが、割り箸は主に以下の樹木から作られます(※便宜上、ここでは竹も含めています)。現在日本で流通している割り箸の大半は中国製で、中国製の割り箸は以下のうちアスペン、シラカバ、エゾマツ、竹を主な原料としています。ちなみに、我が家にあった割り箸には「アスペン元禄箸」と書かれていたので、アスペンから作られた商品のようです。
・アスペン
・シラカバ(白樺)
・エゾマツ(蝦夷松)
・スギ(杉)
・ヒノキ(桧)
・ヤナギ(柳)
・タケ(竹) など
以前は日本製の割り箸が多く流通していましたが、今ではシェアの大半を安価な中国製に奪われる形となってしまいました。ただ現在でも日本製の割り箸は生産されており、その原料には杉・桧・柳などが採用されています。日本製の割り箸は中国製に比べると価格が高く、高級料理店での食事やお祝い事の際に用いられる印象です。
割り箸に用いられるのはなぜ?
それでは数ある植物のうち、先程挙げた樹木達が割り箸の原料に用いられるのは一体なぜなのでしょうか?
そこで、樹木別の採用理由についてざっくり調査してみました。採用理由は樹木によってまちまちですが、主に「供給量の多さ(≒価格)」「加工しやすさ」「木材としての強度」「見た目」の4点が重視されていることがわかりました。
◎アスペン
・成長が早い、軽くて加工しやすい、木目が細かく見た目が良い、供給量が多い など
◎シラカバ(白樺)
・適度な硬さとしなやかさを併せ持つ、表面が滑らかで見た目が良い、供給量が多い など
◎エゾマツ(蝦夷松)
・木目が美しい、軽量で加工しやすい、供給量が多い など
◎スギ(杉)
・木目が美しい、香りが良い、軽くて加工しやすい など
◎ヒノキ(桧)
・触り心地が良い、香りが良い、抗菌・消臭効果を持つ など
◎ヤナギ(柳)
・しなやかで折れにくい、縁起が良い など
◎タケ(竹)
・成長が早い、しなやかで折れにくい、油を弾く、供給量が多い など
アスペンの概要
最後に、割り箸の原料の代表格であるアスペンの概要についてご紹介します。本記事を書き始める前は「アスペン箸って何だ?製法のことか?」くらいにしか捉えていなかったのですが、原料として用いている樹木の名前だったんですね。
科・属名:ヤナギ科ハコヤナギ属
種別:落葉高木
花色:─(花弁なし)
花期:3〜4月
原産:ヨーロッパ、シベリア、中央アジア
別名:ヨーロッパヤマナラシ、セイヨウヤマナラシなど
花言葉:自由、勇気など
◎特徴:
ヨーロッパ、シベリア、中央アジアなどを原産とする落葉高木で、日本ではヨーロッパヤマナラシと呼ばれることが多いです。ヤマナラシという名称に関しては、風に揺れて葉が鳴る特徴に由来しています。冷涼な地域を好み、-35℃程度までであれば耐えられるとも言われています。また木材(アスペン材)は軽くて加工しやすいため、割り箸のほか、マッチの軸やパルプ材の原料としても重宝されています。