稲刈り関連の手伝いのため、先日実家に帰省しました。実家が愛知県のため台風10号の影響を思いっきり受けてしまいましたが…稲刈り自体を元々済ませていたこともあり、当初予定していた作業は全て終わらせることができました。精米した米ももらってきたので、間もなく新米を食べられそうです。
そんな中、巷では「令和の米騒動」と呼ばれる深刻な米不足が発生しています。実際に、近所のスーパーでも米の品切れが頻発している印象です。稲刈りシーズンの直前であれば、備蓄されている米が少なくなるのはある意味当然のような気もしますが…何故今シーズンは例年よりも深刻な米不足に陥っているのでしょうか?
米不足は猛暑のせい?
まず理由として考えられるのが、2023年の猛暑による生産量の低下です。(今シーズンも相当な暑さでしたが)2023年の猛暑は記憶に新しく、6〜8月の平均気温に関しては1898年の統計開始以降、歴代1位の高さだったとのことです。
この「経験したことのない暑さ」は稲にとっても辛いもので、各地の田んぼで高温障害が発生しました。具体的には、米の一部が白く濁ってしまったり、精米時に米が砕けてしまうなどの現象が頻発しました。その結果、品質の良い米(一等米など)の割合が低くなり、結果として市場への流通量が少なくなってしまったようです。
ちなみに私の実家ではコシヒカリと呼ばれる品種を育てているのですが、コシヒカリも元々はあまり暑さに強い品種ではありません。そのため昨年収穫した米は白く濁ったものが多く(※下記写真参照)、生産量自体も過去最低を大きく更新しました。今年に関しては昨年より幾分増えたものの、それでも例年に比べると少ない水準でした。
▲2023年シーズンに収穫した米(※五分づき)
猛暑以外の要因はあるの?
米不足の要因としてまずは「猛暑」を挙げましたが、今シーズンの米不足に関しては、他にもさまざまなな要因が絡んでいると言われます。ざっと調べてみたところ、主だった要因として以下が挙げられることがわかりました。
※実際にはこれら以外の要因も複雑に絡まっていますが、ここでは簡単のため、代表的な3つのみを挙げています。
①作付面積の減少
まずは作付面積の現象に伴う生産量の低下です。長年続いた減反政策(米の過剰生産を抑え、生産量を調整するための制度)や農業従事者の高齢化などの影響で、稲を育てる田んぼの面積自体が減少傾向にあります。年によって生産効率の違いはあれど、そもそもの作付面積が減少すれば、当然生産量も減少傾向になります。
②インバウンド消費の増加
続いて挙げられるのが、インバウンドによる米の消費量の増加です。昨年5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に分類されたことで、さまざまな規制が緩和され、インバウンド(訪日外国人)が増加傾向にあります。インバウンドが増加すれば(日本の主食である)米の消費量も増えるため、結果として在庫の減少に繋がりやすくなります。
③物価高に伴う米需要の増加
そして最後に挙げるのが、物価の高騰に伴う米需要の増加です。日本人1人あたりの米の消費量は年々減少傾向にありますが、昨年あたりから続く物価の高騰により、米に注目が集まっているようです。具体的には小麦関連製品の高騰により、相対的に安価な米の需要が高まったと考えられます。
米不足はいつまで続くの?
米不足の主だった要因が分かったところで、やはり気になるのが「この米不足がいつまで続くのか?」ということです。9月に入っても品薄状態が続いている状況ですが、この先は新米の流通量が徐々に増えてくるため、(現時点の見込みでは)9月中には概ね解消されるのではないか?と言われています。
ただ、先程挙げた要因(夏の猛暑、作付面積の減少、米需要の増加など)が今後も続いた場合、来年以降も米不足に陥ってしまう…かもしれません。そこで近年は、米不足に対応すべく以下のような取り組みが進められています。
・暑さに強い新品種の開発
・二期作、再生二期作による生産効率の向上
・農地の集積・集約化による生産効率の向上 など