先日、取引先を訪れた際に担当の方からりんごジュースをいただきました。久し振りのりんごジュースだったこともあり、いつもより美味しく感じました。
さて、今回私が飲んだのは「透明ではないりんごジュース」だったのですが、りんごジュースと言えば透明なタイプを連想される方もいらっしゃるのではないでしょうか。そもそもりんごジュースには透明ではないタイプと透明なタイプの2種類がありますが、原料としているりんごの品種が異なるのでしょうか?
りんごの概要
科・属名:バラ科リンゴ属
種別:落葉高木
花色:白、薄桃
花期:4〜5月
原産:中央アジア〜西アジア
別名:セイヨウリンゴ(西洋林檎)など
花言葉:優先、好み、選択など
◎特徴:
中央アジア〜西アジアの寒冷地を原産とする落葉高木で、世界中で約15,000品種が栽培されています。現在主に食べられているのはセイヨウリンゴと呼ばれる品種で、日本へは明治時代初期に渡来しました(※これに対して、平安時代に中国から渡来した品種を和リンゴと呼びます。こちらはセイヨウリンゴに比べて果実が小さく、食用にはあまり向いていないようです)。日本でもよく食べられており、果物別での国内消費量はバナナに次いで第2位です。
◎りんごの概要は下記記事からの引用です
【都道府県の花#02】青森県の木・花について - アタマの中は花畑
りんごジュースの色が2種類あるのはなぜ?
冒頭でも触れたとおり、りんごジュースは透明ではないタイプと透明なタイプの大きく2種類に分類できます。前者は混濁果汁、後者は透明果汁と呼ばれ、それぞれりんごを絞った後の製法が異なります。したがって、りんごの品種とジュースの色にはほとんど関係がありません。
◎混濁果汁(透明ではないタイプ)の特徴
・絞った果汁にビタミンCを加えたもの
・ビタミンCの働きでペクチン(多糖類の一種)が分解されないため、濁った色合いをしている
・食物繊維などの固形物が残っているため、りんごらしい爽やかな味わいが特徴
◎透明果汁(透明なタイプ)の特徴
・絞った果汁に酵素を加え、固形物を濾過して取り除いたもの
・酵素の働きでペクチンが分解されるため、透明に変色する
・食物繊維などの固形物を取り除いているため、すっきりした味わいが特徴
ちなみに、国産のりんごジュースに関しては混濁果汁の割合が高く、価格に関しても透明果汁に比べて(何となくですが)高級な印象です。ただ両者の栄養価に明確な差異はないため(※)、味わいなどの好みで飲み分けるのが良さそうです。
※透明果汁に関しては製造工程で固形物を除去していますが、全体に対する割合はわずかであり、栄養価が大幅に下がることはないと言われています。
りんごジュースが変色しないのはなぜ?
りんごと言えば、切った後しばらく放置すると茶色く変色してしまいますよね。しかしながら、混濁果汁をコップに移して放置しても、その色が茶色に変わることはありません。実は、製造過程で添加したビタミンCがこの特性に関係しているのだそうです。
まず、切ったりんごが茶色く変色するのは、りんごに含まれるポリフェノールが空気と反応して酸化し、茶色の物質に変化してしまうためです(※この現象を褐変(かっぺん)と呼びます)。この変色を防ぐ目的でよく塩水が使われますが、実はビタミンCにも同じ効果があります。したがって、コップに移したりんごジュースが変色しないのは、添加されたビタミンCがポリフェノールの酸化を防いでいるためだと言えます。
ちなみに、ポリフェノールは抗酸化作用(老化防止、美白効果、血流改善などに効果あり)を持つため、酸化によってその効果は薄れてしまいます。しかしながら、変色するのは切り口部分だけなので、こちらも栄養価が大幅に下がることはないと言われています。