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今回は、約3カ月ぶりとなる「原料シリーズ」の第4弾です。線香(第1弾)、すだれ(第2弾)、割り箸(第3弾)に続き、今回取り上げるのは紙です。
一言に「紙」といってもさまざまな種類がありますが、それぞれ原料となる植物(木)は決まっているのでしょうか?
※本記事では、再生紙(古紙を原料としたもの)は整理対象外としています。
樹木を原料とした紙
紙の原料としてまず思い浮かべるのが樹木ですが、樹木に関しても針葉樹(針葉樹パルプ)を原料とした紙と、広葉樹(広葉樹パルプ)を原料とした紙の大きく2つに分けることができます。ここではそれぞれの特徴についてもまとめてみましたが、実際には両者を混合した紙も多く、明確に線引きされていないのが現状です。
◎針葉樹パルプを原料した紙
・代表的な樹木としてはマツ、スギ、ヒノキ、モミ、トウヒ、ツガなどが挙げられます。針葉樹パルプの繊維は長くて太いため、紙の強度を求める場合は主にこちらが採用されます。例えば、段ボールや飲料用の紙パック、紙袋などに関しては針葉樹パルプの配合率が高い傾向があります。
◎広葉樹パルプを原料とした紙
・代表的な樹種としてはユーカリ、ポプラ、カシ、シラカバ、ブナ、マングローブ(ヒルギ)などが挙げられます。針葉樹に比べて成長の早い樹種が多いため、価格に関しても比較的安い傾向があります。広葉樹パルプの繊維は細く短いため、紙の平滑性や吸水性を求める場合は主にこちらが採用されます。例えば、印刷用紙やティッシュペーパーに関しては広葉樹パルプの配合率が高い傾向があります。
・また和紙や紙幣に関しては強度と平滑性の両方が求められるため、細長い繊維を持つ広葉樹であるミツマタ、コウゾ、ガンピなどが原料として採用されています。
▲ミツマタ(参考)
草(草本植物)を原料とした紙
紙の中には、木ではなく草(草本植物)を原料としたものも多く流通しています。例えば、薄茶色のわら半紙(藁半紙)は稲や麦を主原料としており、この他にも麻や真麻、バガス(サトウキビ)などから作られた紙もあります。
▲わら半紙(参考)
また以前の記事でご紹介したケナフ(アオイ科フヨウ属)も紙の原料として用いられています。私自身も小学生時代のイベントで育てたケナフを使って紙漉き体験をしたことがありますが、最近はケナフ自体あまり見かけなくなってしまった印象です。
植物以外を原料とした紙
さらに調べてみたところ、植物以外を原料とした紙も実在することがわかりました。ここでは、代表的なものをいくつか記載してみました。
◎合成繊維紙
・ポリエステルやナイロンなどの合成繊維を原料とした紙。耐水性・耐久性・柔軟性などに優れ、屋外ポスターや食品ラベルなどに用いられる。
◎ガラスペーパー
・ガラス繊維を原料とした紙。耐熱性・耐久性・絶縁性などに優れ、建材や電子機器、産業資材などに用いられる。
◎ステンレスペーパー
・ステンレス繊維を原料とした紙。耐熱性・耐久性・導電性などに優れ、高温フィルターや断熱材、電磁波シールド材などに用いられる。
◎羊皮紙
・羊や牛の皮を紙状に加工したもの(※厳密には紙とは異なる)。紙が普及する前の時代に、筆写用として用いられていた。