少し前に富山へ足を運んだ際、通りがかった公園にて見頃を迎えた樹木を見かけました。最初見た時はジュウガツザクラなのでは?と思い込んでいたのですが、後にコシノフユザクラ(越の冬桜)だということがわかりました。
当日は雪が散らつくほど寒く、虫はおろか観光客すらもほとんど見当たらない状況でしたが、この木だけが健気に花を咲かせていたことが印象的です。受粉のことだけを考えればもっと暖かい時期に花を咲かせた方が良いと思うのですが…わざわざ冬に開花するのは一体なぜなのでしょうか?
コシノフユザクラの概要
科・属名:バラ科サクラ属
種別:落葉高木
花色:白、ピンク
花期:10〜4月
原産:日本(富山県)
別名:─
花言葉:─
◎特徴:
富山県中部〜東部で古くから栽培されていた桜で、2006年に新品種として発表されました。コシノフユザクラという名称に関しては、北陸地方の古称である「越の国」に因んでいます。
一般的なフユザクラに比べて花弁が散りにくく、かつ開花期間中に花色が白→ピンクへと変化する特徴を持ちます。また花は一重咲きですが、花弁が4枚のもの・5枚のものが混ざって開花します。
わざわざ冬に開花するのはなぜ?
「越の冬桜」という名前の通り、コシノフユザクラは冬にも開花することで知られています(※実際には冬と春に開花します)。冬に開花する理由については諸説あるようですが、蕾の生長過程が関係していると言われています。
一般的な桜(ソメイヨシノなど)の場合は、秋〜冬にかけて休眠状態に入った後、早春に休眠打破することで開花します。しかしながら、コシノフユザクラの場合はこの休眠状態が明瞭ではない(休眠が浅い、または休眠期間が短い)ことから、冬に開花する花が現れるようです。具体的には、蕾の生長過程が大きく2パターンに分かれたことで花期が長くなった、という説が有力です。
・休眠が浅い、または休眠期間が短かった蕾
→休眠打破のタイミングが早く、冬に開花する
・休眠期間を充分に確保した蕾
→早春に休眠打破し、春に開花する
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冬に開花しても受粉はできるの?
こちらについては以前投稿した皇帝ダリア、ビワの記事でも取り上げた通り、意外にも虫や鳥によって受粉を行っていると言われています。春〜秋に比べて生き物の活動自体は少ないものの、冬でも活動する虫や鳥は少なからず存在します。そのため、コシノフユザクラはこの数少ない生き物を集めて受粉していると考えられます。冬は咲いている花の種類自体が少ない(=受粉を行ってもらうにあたり、ライバルとなる花の数が少ない)ため、コシノフユザクラにとっては冬に開花した方が効率良く受粉できる…のかもしれません。
▲皇帝ダリア(参考)
▲ビワの花(参考)
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