今回は、少し前から世間をざわつかせているジャイアント・ホグウィードに関する話題です。ジャイアント・ホグウィードがニュースに取り上げられるようになったのは6月下旬のことで、北海道大学構内で同種と見られる植物(※)が発見されたことをきっかけに、多くの方に認知されることになりました。
※本記事投稿日時点では、北海道大学構内で見つかった植物がジャイアント・ホグウィードかどうかは判定されていません。在来種とは明らかに異なるものの参照可能な標本がなく、これ以上の確認は困難との結論に至っているようです。現在は健康上のリスクが無いかどうか、引き続き調査が進められています。
ではジャイアント・ホグウィードが何故ここまで世間をざわつかせているかと言うと、「世界で最も危険な植物」と呼ばれるほどの強い毒性が関係しています。実際に北海道大学では、周辺一帯を立入禁止区域とした上で、厳戒態勢のもと伐採作業が行われました。そんなジャイアント・ホグウィードの毒性は、一体どの程度のものなのでしょうか?
ジャイアント・ホグウィードの概要
科・属名:セリ科ハナウド属
種別:多年草
花色:白
花期:6〜7月
原産:西アジア(コーカサス山脈)〜中央アジア
別名:バイカルハナウドなど
花言葉:圧倒的な存在感、力強さなど
◎特徴:
西アジア(コーカサス山脈)〜中央アジアを原産とする多年草で、日本国内ではこれまで未確認の植物でした。「ジャイアント」という名に相応しい大型の植物で、草丈は最大5mに達することもあります。草丈が高く見栄えがすることなどから、19世紀には観葉植物としてイギリスへ持ち込まれました。その後ヨーロッパ各国、アメリカ、カナダへと広がり、現在では各地で野生化し定着しています。
ジャイアント・ホグウィードの毒性について
ジャイアント・ホグウィードの樹液には光毒性を持つ物質(フラノクマリン類の有機化合物)が含まれており、樹液が皮膚に付着した状態で太陽光・紫外線を浴びると深刻な皮膚炎を引き起こします。痛みや水ぶくれ(水疱)がひいた後も傷跡が残り続け、完治までに数年を要することもあります。また樹液が眼に入ってしまうと、最悪の場合失明に繋がる恐れもあります。
幸いなことに、まだ日本国内ではジャイアント・ホグウィードによる健康被害の情報は寄せられていないようです(※本記事投稿日時点)。北海道大学構内で発見された植物がジャイアント・ホグウィードかどうかはまだ判定されていませんが…(仮にそうだったとしても)早期に発見されたことで、被害を最小限に抑えられることを祈るばかりです。
オオハナウドとの違いについて
とはいえ、まだ撤去されていない個体がまだ国内に残っている可能性もあるため、引き続き注意が必要です。特に、北海道内にも分布するオオハナウド(セリ科ハナウド属)によく似ているため、判別がかなり難しいのだそうです。
ここで、ジャイアント・ホグウィードとオオハナウドの違いを簡単に整理してみました。とはいえ、ここに記載した特徴だけでは判断せず、それらしき植物を見かけたらまず近づかない・触れないようにすることも大切です。
◎ジャイアント・ホグウィードの特徴
・非常に大型で、草丈が5mに達することもある
・葉には深い切れ込みがあり、先端は違っている
・非常に強い毒性を持つ(光毒性)
◎オオハナウドの特徴
・比較的大型だが、ジャイアント・ホグウィードに比べれば草丈は低い(1〜2m程度)
・葉は丸みを帯びている
・人間に対する毒性は弱い(犬や猫にとっては有毒)
▲オオハナウド(参考)