先週から(長男の通う)小学校が夏休みに入り、長男を学童へ送り迎えする日々が始まりました。そんなある日、学童の入り口に藍染めイベントの告知ポスターが貼られているのを見かけました。毎回うだるような暑さが続いていますが、藍染めの色合いを見ると何だか涼しげな気分になります。

(※画像はイメージです)
今回は、そんな藍染めの原料に関する話題です。藍染めの原料には「とある植物」が使われているのですが、自然界ではあまり藍色の植物を見かけません。では、この藍色の正体は一体何者なのでしょうか?
藍染めの原料
早速結論から入りますが、藍染めの原料にはその名の通りアイ(藍)と呼ばれる植物が用いられています。ただ、この「藍」は特定の植物を指すものではなく、タデ科、マメ科、アブラナ科などに属する100種類以上の植物の総称です。日本の場合は、この中からタデアイ(蓼藍)が主に用いられていることから、ここではタデアイの概要についてご紹介します。

科・属名:タデ科イヌタデ属
種別:一年草
花色:ピンク、白
花期:8〜10月
原産:東南アジア
別名:アイ(藍)、アイタデ(藍蓼)など
花言葉:美しい装い、あなた次第など
◎特徴:
東南アジア原産の一年草で、日本では東北地方南部〜九州地方にかけて分布しています。青色染料として人類が最も古くから利用してきた植物の1つで、現在でも徳島県などで栽培されています。
藍染めの原料としての利用が有名ですが、薬用植物としての一面もあり、消炎・解熱・解毒・止血などに効果を発揮します。またタデアイにはポリフェノールが豊富に含まれており、健康食品としても注目されています。
タデアイの「藍色」の正体は?
先程の概要欄でタデアイの写真を引用しましたが、花や葉を見る限り、どこにも「藍色要素」がありません。では、藍染めに用いる藍色の染料はどのようにして作られているのでしょうか?

調べてみたところ、タデアイの葉や茎にはインジゴチンと呼ばれる成分が含まれており、これが染料の原料になっているようです(※)。インジゴチンは元々無色の成分ですが、葉や茎から抽出して空気・水・光に触れることにより藍色に発色します。藍色に変色した成分はインディゴと呼ばれ、これが藍染めの染料として用いられています。日本での藍染め文化は奈良時代まで遡り、特にタデアイ(から作られたインディゴ)によって染められた鮮やかな青色は「ジャパンブルー」とも呼ばれます。

なお概要欄にて「藍は複数の植物の総称」だと記載しましたが、具体的にはこのインジゴチンを含む植物全般を「藍」と呼びます。そのため海外では様々な「藍」を用いた藍染めが行われており、デニムなども以前はこれらを用いて染められていました。ただ近年は石炭などから合成したインディゴが台頭するようになり、「藍」の活躍の場はめっきり少なくなってしまいました。

タデアイとイヌタデの違い
タデアイによく似た植物として、同じタデ科イヌタデ属のイヌタデが挙げられることがあります。そこで、タデアイとイヌタデの違いについても簡単に整理してみました。生育環境が近い場合は両者の見分けも難しくなりますが…葉や茎を傷つけて紺色になれば、タデアイだと判別することができます。

◎タデアイの特徴(写真左)
・イヌタデに比べて草丈が高い(50〜100cm程度)
・イヌタデに比べて花が大きい
・葉や茎をすり潰すと紺色になる
・葉はやや丸みを帯びている
◎イヌタデの特徴(写真右)
・タデアイに比べて草丈が低い(20〜50cm程度)
・タデアイに比べて花が小さい
・葉や茎をすり潰しても紺色にはならない
・葉は細長く尖っている
◎イヌタデの概要についてはこちら