アタマの中は花畑

小さな花壇と家庭菜園を手に入れたガーデニング初心者の日々

【花札】各月の札に描かれた植物とその由来について

少し前に桜(ソメイヨシノ)が開花したかと思いきや、気が付けば葉桜だらけになっていました。今シーズンは悪天候や強風に見舞われる日が多く、例年に比べるとあまり桜を楽しめなかったな…というのが正直なところです。

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今回は、そんな桜が登場する「花札」を取り上げたいと思います。花札は現代で言うカードゲームの1つで、実際に遊んだことのある方も多いのではないでしょうか。花札という名前の通り、桜をはじめ様々な花が掲載されていることでも知られています。これらの花(植物)は、一体どのような経緯で花札に採用されたのでしょうか?

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花札の概要と歴史

花札とは日本の伝統的なカードゲームの1つで、1〜12月までの植物や動物、風景が描かれた札が特徴です。各月4枚×12カ月=全48枚で構成され、特別な絵型の光札(20点)、動物や風景が描かれたタネ札(10点)、和歌などが書かれた短冊(5点)、植物のみが描かれたカス札(1点)の4種類に振り分けられています。地域によって遊び方はさまざまですが、2人対戦で役を狙う「こいこい」や、2〜4人対戦で点数を競う「花合わせ」などが有名です。

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花札の歴史は、16世紀にポルトガルから伝来したカルタまで遡ります。このカルタを基に日本でも独自の札が作られるようになりましたが、江戸時代には賭博への懸念からたびたび禁止令が出されていました。そのため、規制をかいくぐるために形や絵柄を変化させていった結果、現在の花札の原型が成立したと考えられています。明治時代には娯楽として広く普及し、その後任天堂が製造・販売を手がけたことで全国的に定着しました。現在でも正月の遊びや伝統文化の一つとして親しまれています。

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各月の札に描かれた植物とその由来について

ここからは、各月の札に描かれた植物や動物、風景の組み合わせについて、由来と合わせてそれぞれ整理してみました。

 

【1月】松 × 鶴

松は常緑で長寿や不老不死の象徴とされ、古くから吉祥の木とされてきました。鶴もまた「千年生きる」と信じられた瑞鳥(=めでたいことが起きる前兆とされる鳥)であり、長寿・繁栄の象徴です。この組み合わせは、年の始まりにふさわしい縁起物として採用されたもので、正月祝いの意味合いが強く込められています。

※短冊(5点)に書かれた「あかよろし」には「明らかに良い」などの意味合いがあります。この札は赤短(あかたん)とも呼ばれ、ゲーム内で特別な役割を持ちます。

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【2月】梅 × 鶯

梅は厳しい寒さの中でいち早く開花することから、春の訪れを告げる花とされています。鶯(うぐいす)に関しても早春に鳴き始める鳥で、「春告鳥」とも呼ばれます。梅と鶯が必ずしもセットという訳ではありませんが、和歌の世界では理想的な早春の情景として定着しました。こうした文化的イメージが花札にも取り入れられたと考えられます。

※実際の鶯は茶褐色であるため、花札に描かれた緑色の鳥は鶯ではなくメジロではないか?という説もあります。1月の松と同様、短冊(5点)は赤短とも呼ばれます。

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【3月】桜 × 幕

桜は日本を象徴する花であり、春の盛りを表します。花札に描かれる幕は花見の際に設けられた「花見幕」を表し、貴族や武士が宴を楽しんだ風習に由来します。1〜2月の札とは異なり動物ではありませんが、幕(花見幕)は宴を象徴するモチーフとして採用されたと考えられます。桜と幕の組み合わせは、華やかな花見文化そのものを象徴しています。

※短冊(5点)に書かれた「みよしの」は吉野山(奈良県)の敬称として知られています。1月の松、2月の梅とは文字が異なりますが、この短冊も赤短と呼ばれます。

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【4月】藤 × 不如帰

藤は初夏に開花することで知られ、不如帰(ほととぎす)もこの時期に鳴き始めます。不如帰は和歌にもしばしば登場する鳥で、「初音」を楽しむ対象として長く愛されてきました。美しく垂れ下がる藤の花と、物悲しく響く不如帰の鳴き声は、日本的な季節感や情緒を象徴しています。実際の風景というよりは、文学的な組み合わせが採用された札と考えられます。

※1〜3月と同様、短冊(5点)には赤い短冊が描かれていますが、何も文字は書かれていません。これは赤短や青短(後述)とは異なり、特別な役割を持たないことを示しています。

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【5月】菖蒲 × 八橋

菖蒲(あやめ)は端午の節句に用いられ、厄除けや尚武(武を重んじる)に通じる縁起物です。一方の八橋(やつはし)は『伊勢物語』に登場する「三河の国の八橋」がモチーフで、旅の途中に菖蒲を見て望郷の念を詠んだシーンに由来します。こちらも3月(桜)と同様に動物ではありませんが、古典文学と風景の融合を象徴する組み合わせとなっています。

※札に描かれている花は菖蒲ではなく、見た目のよく似た杜若(かきつばた)ではないか?という説もあります。

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【6月】牡丹 × 蝶

牡丹は豪華で「百花の王」と称される花です。蝶は花を舞う姿から美や優雅さ、また魂の象徴ともされます。牡丹と蝶の組み合わせは中国美術の影響も受けており、富貴・繁栄・美の象徴として広まりました。華やかさの極みを表現する組み合わせとして、花札にも採用されたと考えられます。

※短冊(5点)には紫の短冊が描かれていますが、何も文字は書かれていません。この短冊は青短(あおたん)と呼ばれる赤短の対になる役で、ゲーム内で特別な役割を持ちます。

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【7月】萩 × 猪

萩は秋の七草の一つで、旧暦の7月頃に見頃を迎える秋の象徴的な植物です。一方の猪は実りの季節に活発に動く動物で、「猪突猛進」という言葉にも見られるように力強さの象徴とされています。風に揺れる萩と勢いよく進む猪の対比は、素朴な秋の風景を示す組み合わせです。

※藤(4月)と萩はどちらもマメ科の樹木であり、花の咲き方も似ていることから、両者は同じようなデザインとなっています。

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【8月】芒(すすき) × 月 × 雁

芒(すすき)もまた秋の七草の一つで、月見に欠かせない植物として知られています。また、雁(かり)は秋に渡来する渡り鳥で、季節の移り変わりを象徴しています。満月とすすき、そして雁の組み合わせは、日本の秋の情景を代表する構図であり、和歌や絵画にも多く取り上げられています。

※札の下半分に描かれた山が坊主頭のように見えることから、「芒に月」ではなく「ぼうず」と呼ばれることもあります。

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【9月】菊 × 盃

菊は長寿や高貴さの象徴で、重陽の節句(9月9月)とも深い関わりがあります。また、盃に菊を浮かべる「菊酒」は長寿を願う風習に由来します。したがって、この札には健康や長寿への祈りが込められており、文化的・儀礼的な意味合いが強い組み合わせだと考えられます。

※タネ札の盃には「寿」という字が書かれていますが、こちらも健康・長寿への祈りが込められています。

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【10月】紅葉 × 鹿

紅葉は秋の深まりを象徴する植物で、鹿はその季節に鳴き声を響かせる動物です。両者は和歌や能にも度々登場する定番の組み合わせで、秋の寂しさや風情を表しています。したがって、この札に関しても古典文学と風景の融合を象徴する絵柄だと言えます。

※そっぽを向く、無視するなどの意味合いで用いられる「シカト」は、タネ札(10点)に描かれた鹿がルーツだとされています(※鹿+10点札→シカトウ(鹿十)→シカトに転訛)。

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【11月】柳 × 小野道風 × 蛙

この札に関しては、平安時代の書家・小野道風(おののみちかぜ)が描かれています。蛙が諦めずに何度も柳に飛び付こうとする様子を小野道風が見て、諦めずに努力することの大切さを悟ったとする「柳の蛙」の逸話が由来になったとされています。

なお、柳や燕(タネ札に描かれた鳥)は春〜夏のイメージが強いですが、この札に関しては季節感よりも逸話が優先された形となっています。逸話に関しても11月と直接的に関係している訳ではなく、「札の内容と季節が対応していない」という少し異質な特徴を持ちます。

※小野道風が傘を差していることなどから「雨」と呼ばれることもあります。また雨、雷、雷神の手、太鼓などが描かれたカス札(1点)は鬼札(おにふだ)とも呼ばれ、他のカス札とは少し異なる役割を持ちます。

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【12月】桐 × 鳳凰

桐は高貴な木とされ、鳳凰(ほうおう)は徳の高い君主の元にのみ現れるとされる伝説上の霊鳥です。鳳凰は桐に宿るとも言われ、この2つは非常に縁起の良い組み合わせです。1年の締めくくりにふさわしく、繁栄と理想世界を象徴する絵柄だと言えます。

※桐は元々4〜5月頃に開花する樹木ですが、ピンキリのキリ(=最後)に準えて12月の札に採用されたとも考えられています。(※諸説あり)

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