先日、道端でこんな野草を見かけました。見たところホトケノザやヒメオドリコソウかと思ってしまいますが、実は「ムラサキケマン」と呼ばれる全く別の植物です。
どれも今くらいの時期に紫色の花を咲かせるため、私自身も一時期混同してしまったことがあります。そこで今回は、ホトケノザ・ムラサキケマン・ヒメオドリコソウの特徴や見分け方について簡単にご紹介したいと思います。
ホトケノザの概要
科・属名:シソ科オドリコソウ属
種別:一年草(越年草)
花色:紫
花期:3〜6月
原産:アジア、ヨーロッパ、北アフリカ
別名:サンガイグサ、ホトケノツヅレなど
花言葉:調和、輝く心など
◎特徴:
春を代表する野草の一つで、日本では北海道以外に広く分布しています。花が何段にも分かれて咲くことから、サンガイグサ(三階草)の別名を持ちます。稀に白い花を咲かせる株があり、シロバナホトケノザとも呼ばれます。
ムラサキケマンの概要
科・属名:ケシ科キケマン属
種別:二年草(越年草)
花色:紫
花期:4〜6月
原産:日本、中国、朝鮮半島など
別名:ヤブケマン(藪華鬘)など
花言葉:あなたの助けになる、喜び、助力など
◎特徴:
日本を含む東アジアを原産とする越年草で、日本では北海道〜沖縄にかけて広く見かけることができます。仏具の一つである華鬘(ケマン)に花姿が似ており、かつ紫色の花を咲かせることからその名が付けられました。仏具に由来した名前であることから、「あなたの助けになる」「助力」などの花言葉を持ちます。
ヒメオドリコソウの概要
科・属名:シソ科オドリコソウ属
種別:一年草(越年草)
花色:紫
花期:3〜5月
原産:ヨーロッパ
別名:サンガイグサなど
花言葉:陽気、愛嬌、快活など
◎特徴:
ヨーロッパ原産の越年草で、日本では帰化植物として本州を中心に見かけることができます。同じシソ科のオドリコソウ(日本原産)に比べてサイズが小さいことからその名が付けられました。なお「オドリコソウ」に関しては、見た目が傘を被った踊り子に似ていることが由来となっています。
▲オドリコソウの花(参考)
それぞれの特徴・見分け方は?
ホトケノザ・ムラサキケマン・ヒメオドリコソウともに、この時期よく見かける紫色の花です。草丈も同じくらいなので混同してしまいがちですが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?
◎ホトケノザの特徴(写真左)
・花色は赤紫で、付け根まで同じ色をしている
・葉の形は丸みを帯びている
・ヒメオドリコソウに比べて葉同士の間隔は広い
・微量だが花の付け根に蜜が溜まっている
◎ムラサキケマンの特徴(写真中央)
・花色は赤紫で、付け根はやや薄い色をしている
・直射日光の当たらないやや暗い場所を好む
・葉は薄く、細かく枝分かれしている
・今回の3種の中で唯一ケシ科に属する(他2種はシソ科)
◎ヒメオドリコソウの特徴(写真右)
・花色は薄紫で、付け根まで同じ色をしている
・葉の形は丸みを帯びた三角形をしている
・葉同士の間隔が狭く、折り重なるように伸びる
・天頂部の葉が赤みを帯びている
花や葉の見た目が少しずつ異なるため、慣れてくれば比較的簡単に見分けることができます。なお今回取り上げた3種のうち、ムラサキケマンのみ有毒成分(ブロトピン)を持ちます。そのためホトケノザと間違えて蜜を吸ってしまうと下痢や嘔吐、腹痛を引き起こす場合があるため注意が必要です。