今年に入ってからテレワークの機会がさらに増えたのですが、その時の昼食として海鮮丼をテイクアウトで買ってきてもらいました(妻に)。海鮮丼の蓋を開けてみると、端の方によく見かける「緑色のギザギザ」が入っていました。
この緑色のギザギザはバランと呼ばれるもので、弁当などによく使われています。今では馴染み深いバランですが、元々は本物の植物の葉だったことをご存知でしょうか?
バランの役割
弁当などに使われるバランは主に仕切りとしての役割を果たします。惣菜と惣菜の間にバランを差し込むことにより、惣菜同士がくっついたり、味移りしたりするのを防ぐ効果があります。家庭ではアルミカップなどで代用されることも多いですが、市販の弁当や寿司では今でもバランが多く使われています。
元々は本物の植物の葉だった!?
バランと言われるとプラスチック製の緑のギザギザを連想しがちですが、元々は葉蘭(ハラン)と呼ばれる植物の葉が使われていました。葉蘭はキジカクシ科(※ユリ科・スズラン科として扱われる場合もあり)の多年草で、以下のような理由から惣菜の仕切りとしてよく使われていたようです。
・葉に防腐・殺菌作用があること
・葉が大きく加工しやすいこと
・季節問わず緑色の葉が使えること
その風習が現在まで続き、今ではプラスチック製のバランで代用されるようになったのですが…代用により元々の葉にあった防腐・殺菌作用は失われてしまいました。
バランがギザギザなのはなぜ?
先程、元々使われていた葉蘭の写真を掲載しましたが、葉蘭の葉は流線型をしていましたよね。ですが、現在流通しているバランは流線型ではなく何故かギザギザした形をしています。これは一体どういうことなのでしょうか…?
葉蘭はそのままの形で使われることもあった一方で、板前さんなどの手によって飾り切りされることもありました。当時の飾り切りの名残で、現在でもギザギザのバランが流通していると言われています。
ハラン(葉蘭)の概要
最後に、植物のハラン(葉蘭)について簡単にまとめておきます。
科・属名:キジカクシ科ハラン属
種別:多年草
花色:紫など
花期:3〜5月
原産:日本(中国という説もあり)
別名:馬蘭(バラン)など
花言葉:強い心、強い意志、平癒など
◎特徴:
大きな葉が特徴の多年草で、庭園などによく用いられています。主に葉を鑑賞する植物であるため、品種改良により斑入りの品種も多く流通しています。葉とは対照的に花はあまり目立たず、地面すれすれで咲くため気付かれないことも多いようです。
名前の由来は中国の大きなランを表す「馬蘭(バラン)」で、後に「葉蘭(ハラン)」と呼ばれるようになりました。