先日、親戚から菖蒲湯用のショウブとヨモギを譲ってもらいました。実家にいた頃は毎年のように菖蒲湯に入っていましたが、最近はその機会すらほとんどありませんでした。
さて、菖蒲と言われると花菖蒲をイメージされる方も多いかと思いますが、菖蒲湯に使われるのは異なる「菖蒲」です。今回はそんな菖蒲について少しだけご紹介したいと思います。
▲花菖蒲の花
菖蒲湯に用いるのは花菖蒲ではない!?
冒頭でも触れたとおりですが、菖蒲湯に用いられる葉は花菖蒲のものではありません。では何の葉が使われているかというと…よく似た名前の「菖蒲」の葉が用いられています。葉の見た目こそよく似ていますが、花菖蒲はアヤメ科、菖蒲はショウブ科(サトイモ科)に属しているため両者は全く異なる植物です。
▲菖蒲の葉
菖蒲・ヨモギをお風呂に入れるのはなぜ?
菖蒲湯の風習が始まったのは奈良時代まで遡ります。菖蒲が持つ独特の香りや葉の形が邪気を払うとされ、端午の節句(5月5日)にお風呂に入れるようになったと言われています。また「菖蒲=勝負(に勝つ)」に通ずることも、その文化を後押ししたようです。なお、菖蒲湯にはヨモギもセットで用いられることが多いですが、ヨモギにも邪気を払う効果があるとされています。
ということで、早速我が家でも菖蒲湯に入ってみました。菖蒲の葉を子供の頭に巻き付けることで「健康で頭の良い子に育ちますように」という願いが込められるようなので、長男(3歳)・次男(もうすぐ1歳)の頭にも巻き付けてあげました。当の本人達が喜んでいたかどうかは定かではありませんでしたが、健康な子に育ってくれればこれ以上の喜びはありませんね。
菖蒲の概要
最後に、今回話題に上がった菖蒲・花菖蒲の概要についても簡単に触れておきたいと思います。
科・属名:ショウブ科(サトイモ科)ショウブ属
種別:多年草
花色:黄緑
花期:5〜7月
原産:北半球の温帯域
別名:ニオイショウブ、ハクショウ(白菖)など
花言葉:気合い、勇気など
◎特徴:
葉の形はアヤメ科の花菖蒲(後述)によく似ていますが、こちらはショウブ科(サトイモ科)に属する全く別の植物です。花は穂状であまり目立たず、学名でもあるAcorusは「美しくない」という意味を持つほどです。独特の香りを持ち、根茎は古くから漢方薬としても用いられています。
花菖蒲の概要
科・属名:アヤメ科アヤメ属
種別:多年草
花色:紫、白、ピンク、青紫など
花期:6〜7月
原産:日本、朝鮮半島〜東シベリア
別名:ギョクセンカ(玉蝉花)、ショウブ、アヤメなど
花言葉:嬉しい知らせ、優しい心、優雅など
◎特徴:
ノハナショウブを品種改良したもので、江戸時代を中心に多くの品種が生み出されました。湿った場所を好み、特に蕾〜開花期は多くの水分を必要としますが、園芸用の培養土でも問題なく育てることができます。
なお、黄色の花を咲かせるキショウブは西アジア〜ヨーロッパを原産とする帰化植物で、ハナショウブとは異なります。
▲キショウブの花(参考)
追伸:
昨日中に記事が書き上がらず、投稿日が端午の節句(5月5日)の1日遅れになってしまいました…。