先日、近所の公園でシマトネリコの木を見かけました。遠くから見ると花が咲いているように見えますが、おそらく花ではなく実だと思われます。
私がそう感じているだけなのかもしれませんが、最近庭木や街路樹としてシマトネリコがよく植えられているような気がします。数ある樹木の中でシマトネリコが選ばれるのには、何か理由があるのでしょうか?
シマトネリコの概要
科・属名:モクセイ科トネリコ属
種別:常緑高木
花色:白
花期:6〜7月
原産:東アジア〜西アジア
別名:タイワンシオジ、タイワントネリコなど
花言葉:偉大、服従、高潔、思慮分別など
◎特徴:
東アジア〜南アジアを原産とする常緑高木で、日本では沖縄に自生しています。本州でも街路樹として植えられていますが、寒さに弱いため関東以西でないと地植えは難しいとされます。
雌雄異株のため、木によって雌花のみを咲かせる雌株と、雄花のみを咲かせる雄株の2種類に分けることができます。開花後、雌株には羽を持つ実(翼果)が付きます。
名前の由来は?
シマトネリコは漢字で「島戸練子」と表記します。この漢字表記から考えていくと、名前の由来も幾分イメージしやすくなるかもしれません。
まず、シマトネリコの枝にはカイガラムシと呼ばれる虫が寄生することがあります。カイガラムシの背中には蝋状の白い殻が付いており、これを溶かした白ロウは戸の滑りを良くするための「戸練(とねり)」としてかつて重宝されていました。そのため、カイガラムシが獲れるシマトネリコは戸塗木(とぬりき)と呼ばれており、現在ではこれが訛って「戸練子(とねりこ)」に変化したようです。
▲カイガラムシ(参考)
また概要欄でも触れましたが、シマトネリコは沖縄などに自生しています(※日本の場合)。このことから、島に自生する戸練子=シマトネリコと呼ばれるようになった…という説が有力です。
庭木・街路樹にシマトネリコが選ばれるのはなぜ?
「シマトネリコ」という名前自体はあまり知られていないかもしれませんが、気にかけてみると庭木や街路樹としてよく植えられていることに気付きます。それではなぜ、シマトネリコの木があちこちで植えられるようになったのでしょうか?
調べてみたところ、数ある樹木の中でシマトネリコが選ばれるのは主に以下の理由が関係しているようです。一言で言えば「お洒落かつ管理が楽」といったところでしょうか。
①病害虫が付きにくく管理が楽
シマトネリコは他の樹木に比べて病害虫が付きにくく、初心者でも管理しやすい点が魅力です。但し病害虫が全く付かないという訳ではなく、前述のカイガラムシなどが寄生することもあります。
②樹形が整いやすい
シマトネリコは枝が横に広がりにくいため、ある程度成長しても樹形が整いやすい点が特徴です。樹形がスッキリしているため、他の樹木に比べて「軽くて爽やかな印象」を与えてくれます。
③常緑樹のため落ち葉が少ない
シマトネリコは常緑樹のため、落葉樹のように秋に一斉に葉を落とすこともありません。そのため、落ち葉が少なく管理もしやすいです。
④どんな場面でも溶け込む
シマトネリコは和風の庭、洋風の庭、公園、街中…どんな場面でも溶け込んでくれます。また落葉樹に比べて常緑樹は季節感を感じにくいと言われますが…シマトネリコは花や実が目立つため、常緑樹でありながら季節感も感じさせてくれます。
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