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2つ前の記事に引き続き、今回も紅葉に関する話題です。例えばこちらは近所の神社で撮影したイチョウですが、ここ2週間ほどで一気に見頃を迎えました。
◎10月下旬撮影
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◎11月上旬撮影
先程の写真だけを見ると、葉の色が一斉に変化しているように見えますが…実際はそうでもありません。続いての写真は先程のイチョウの木全体を撮影したものですが、一部の枝ではまだ葉が緑がかっていることがわかります。
このような「木の一部分だけが紅葉した木」はしばしば見かけられますが、なぜ同じ木の中でも枝によって紅葉のタイミングがずれるのでしょうか?
紅葉の仕組み
本題に入る前に、まずは紅葉の仕組みについて簡単に触れておこうと思います。植物の葉にはクロロフィル(緑色の色素)、カロチノイド(黄色の色素)、アントシアン(赤色の色素)、タンニン(茶色の色素)などが含まれており、春〜夏にかけてはクロロフィルの含有量が多いため葉は緑色に見えます。
ところが秋になると、太陽の光が弱くなり光合成の働きもそれに伴って低下していきます。落葉樹の場合、秋が深まる頃には「葉を維持することに必要なエネルギー量に比べて、光合成によって得られるエネルギー量が少なくなる」という逆転現象が発生します。こうなってしまうと、葉を維持することによるメリットが無くなるため、植物は葉を落とす手続きに入ります。この時色素の割合が変化するため、葉の色は次のように変化します。
・カロチノイドが多い→葉の色は黄色
・アントシアニンが多い→葉の色は赤色
・タンニンが多い→葉の色は茶色
・常緑樹→比率が変わらないので緑色のまま
◎引用元の記事はこちら
【紅葉】秋になると葉が赤や黄色に色付くのはなぜ? - アタマの中は花畑
ここではかなりザックリとしたご紹介になりましたが、要は「気温などの気象条件により、葉の色が変化している」のだと考えられます。
木の一部分のみが紅葉するのはなぜ?
ここで冒頭の話題に戻りますが…同じ木に付いた葉であればどれも性質は同じなので、紅葉のタイミングもほぼ同時なのでは?と思ってしまいます。ところが実際にはそのタイミングが異なり、ある枝が紅葉の見頃を迎えている一方で、他のある枝はまだ葉が緑色…ということもあります。同じ木にも関わらず、枝によって紅葉のタイミングがずれるのは一体なぜなのでしょうか?
これには先程触れた「気温などの気象条件」が深く関係しています。例え同じ木であっても、枝の場所によって日光や風の当たり方は異なります。まず日光の当たり方に着目してみると、日当たりの良い枝と日陰になりやすい枝では、色素の生成・分解スピードが異なります。そのため日陰になりやすい枝では色素(クロロフィル)の分解速度が遅く、他の枝よりも紅葉のタイミングが遅い(あるいは十分に紅葉することなく落葉する)ケースがあります。続いて風の当たり方に着目してみると、冷たい北風がよく当たる枝では「体感温度」が下がりやすく、他の枝に比べて早く紅葉が進むと考えられます。
したがって、同じ木でも枝によって紅葉のタイミングが異なるのは「場所によって日光や風などの条件が異なるため」だと言えそうです。
近所のイチョウの場合
最後に、今回挙げた内容を近所のイチョウの木に当てはめてみることにします。例えばこちらの写真では、写真上部・下部の葉が鮮やかな黄色に染まっている一方で、中央付近の葉はやや緑がかっていることがわかります。
したがって、写真中央付近の枝に関しては、
・周辺の枝に比べて日陰になりやすい
・周辺の枝などによって風が当たりにくい
のではないかと考えられます。