最近、ニュースなどでナガエツルノゲイトウという名前の植物をよく耳にします。私自身はまだ見たことがない(と思っている)のですが、各地で大繁殖しておりその駆除に苦戦を強いられているようです。
というのも、ナガエツルノゲイトウは「地球上で最悪の侵略的植物」とも呼ばれる悪名高き植物です。もちろんナガエツルノゲイトウ自体に何の非もないはずなのですが…なぜこのように呼ばれているのでしょうか?
ナガエツルノゲイトウの概要
科・属名:ヒユ科ツルノゲイトウ属
種別:多年草
花色:白
花期:4〜10月
原産:南アメリカ
別名:ミゾツルノゲイトウ、ナガエツルノゲイトウなど
花言葉:信念、気が強いなど
◎特徴:
南アメリカ原産の多年草で、「地球上で最悪の侵略的植物」と呼ばれることもあります。南アメリカで発見された当初は観賞用の水草として販売されていましたが、その繁殖力の高さから各地で問題視・規制されるようになりました。日本では1989年に初めて発見され、以降は西日本を中心にその分布域を広げています。
長さ1m以上に達することもあるつる性植物で、「花茎が長く、つる性で、野生で見かけるケイトウの仲間」という意味合いで現在の名称が付けられました。
「地球上で最悪の侵略的植物」と呼ばれるのはなぜ?
概要欄でも触れた通り、これにはナガエツルノゲイトウ自身の繁殖力の高さが大きく関係しています。代表的な特徴としては以下が挙げられ、一度侵入してしまうと完全な駆除はほぼ不可能だも言われてしまうほどです。その繁殖力・再生力の高さこそが「地球上で最悪の侵略的植物」と言われる所以です。
・陸上、水上問わず生育可能
・ちぎれた茎や地中に残った根からも再生可能
・辺り一面がすぐに覆われてしまうほど、成長スピードが早い
ただ繁殖力が高いだけであればここまで問題視されないはずなのですが…増殖したナガエツルノゲイトウは生態系や農業にも大きな影響を与えます。例えば、溜め池に侵入すれば従来の生態系と競合するだけでなく、水面を覆い尽くしてしまうと水質を悪化させる原因にもなります。また水田や畑を覆ってしまえば、米や野菜の収穫量にも悪影響を及ぼします。さらには増殖したナガエツルノゲイトウが排水溝に詰まってしまえば、大雨時に洪水被害を引き起こしやすくなります。ナガエツルノゲイトウ自身に非はありませんが、各地で悪者扱いされ、懸命な駆除活動が行われているのが現状です。
日本の特定外来生物(植物)一覧
環境省のホームページによると、本記事の投稿日時点で特定外来生物に指定されている植物は19種類でした。いずれも元々日本には分布していなかった品種ですが、人間活動によって持ち込まれ、各地で影響を及ぼしつつあります。
◎環境省のホームページはこちら
・ナガエツルノゲイトウ
・ブラジルチドメグサ
・ボタンウキクサ
・アゾララ・クリスタタ
・オオキンケイギク
・ミズヒマワリ
・ツルヒヨドリ
・オオハンゴンソウ
・ナルトサワギク
・アレチウリ
・ナガエモウセンゴケ
・オオフサモ
・エフクレタヌキモ
・ウトゥリクラリア・インフラタ
・ウトゥリクラリア・プラテンスィス
・ルドウィギア・グランディフロラ
・ビーチグラス
・スパルティナ属全種
・オオカワヂシャ
▲オオキンケイギク(参考)
なお、生態系などに悪影響を及ぼしているのは海外原産の植物だけではありません。例えば日本原産のクズ(葛)やイタドリも、海外での繁殖が問題視されています。
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