今回は、こちらの花を咲かせる野草についてご紹介したいと思います。一見するとナスのような可憐な花ですが…実はナスではなくワルナスビと呼ばれる植物の花です。
ワルナスビは漢字で「悪茄子(=悪い茄子)」と記載するなど、数ある植物の中でも特に印象の悪い名前を持つことで知られています。いかにも可哀想な名前ですが、名前に「悪」が付けられてしまったのにはどのような理由があるのでしょうか?
ワルナスビの概要
科・属名:ナス科ナス属
種別:多年草
花色:紫、白
花期:6〜9月
原産:北アメリカ
別名:オニナスビ、アレチナスビ、ノハラナスビなど
花言葉:欺瞞(ぎまん)、悪戯(いたずら)など
◎特徴:
北アメリカを原産とする帰化植物で、日本では明治時代末期に初めて発見されました(家畜の糞や牧草に紛れて渡来)。現在ではほぼ全国に分布しており、市街地、農地、河川敷などで見かけることができます。ナスに似た花を咲かせ、ミニトマトに似た実を付けますが、有毒成分を含むため食べることはできません。
なお白い花を咲かせる個体はシロバナワルナスビとも呼ばれ、ワルナスビの変種として扱われることがあります。
名前に「アク(悪)」が付くのはなぜ?
冒頭でも触れた通り、ワルナスビは漢字で「悪茄子」と記載します。この名前を付けたのは植物学者としても知られる牧野富太郎氏で、当時は「地下茎の一部からも再生可能なほど繁殖力が旺盛で、一度定着してしまうと駆除が難しい」ことが命名のきっかけだったとされています。
この他、ワルナスビが「悪」と呼ばれてしまう理由としては以下が挙げられます。その多くが農作物や家畜に悪影響を及ぼすものであり、これだけ理由があれば「悪」と呼ばれてしまうのも致し方ないのかもしれません。
・葉や茎に棘を持ち、あまり良い印象を与えない点
・畑に定着することで、同じナス科の野菜(ジャガイモ・トマト・ナスなど)の連作障害を引き起こす点
・害虫(ニジュウヤホシテントウなど)の温床となり、ナス科の野菜の品質・生産量を低下させる点
・ナスのような花を咲かせ、ミニトマトのような実を付けるものの毒性があり食べられない点
・全草に毒性があり、家畜が誤って食べると中毒死する可能性がある点
海外での呼び名について
日本では散々な名前を付けられてしまったワルナスビですが、海外ではどのように呼ばれているのでしょうか。ということで調べてみたところ、海外でもやはりあまり良い扱いを受けていないようです。。。
ワルナスビは北アメリカ原産の植物ですが、日本だけでなくヨーロッパ・オセアニア・アジアの広い地域にも帰化しています。これらの地域でも日本と同様にさまざまな問題を引き起こしていることから、Apple of Sodom(ソドムのリンゴ)やDevil's tomato(悪魔のトマト)などの悪名で呼ばれてしまっているようです。