(※本記事ではカメムシの写真を掲載しています。ご容赦のほど、よろしくお願いいたします。)
今回は、本ブログでは初登場となるパクチーについてご紹介したいと思います。パクチーと言えば好き嫌いがはっきりした野菜のイメージがあり、飲み会等でタイ料理店を予約する際には、いつも参加者のパクチー嫌いを確認するようにしています。かくいう私も元々パクチーは苦手で、数年前にようやく克服したばかりだったりします。
パクチーの好き嫌いが分かれてしまうのは独特の風味(香り)によるところが大きいと思うのですが、この香り成分の正体は一体何者なのでしょうか?
パクチーの概要
科・属名:セリ科コエンドロ属
種別:一年草
花色:白
花期:5〜6月
収穫期:3〜6月
原産:地中海沿岸
別名:コリアンダー、シャンツァイ、コエンドロなど
花言葉:隠れた才能、辛辣など
◎特徴:
地中海沿岸原産の一年草で、日本へは10世紀頃に渡来したと言われています。独特の香りと風味を持ち、タイ料理・ベトナム料理・中華料理などに欠かせない食材として親しまれています。種子もスパイスとして用いられますが、葉や茎に比べると香り成分は控えめです。
国内では福岡県・静岡県・茨城県などで生産されており、3〜6月頃に多く流通します(※海外産のものも含めれば、一年中見かけることができます)。
パクチーはカメムシのニオイ!?
パクチーと言えば独特の香りが何よりの特徴ですが、その正体はドデセナールと呼ばれるアルデヒドの一種です(※アルデヒド基(-CHO)を持つ有機化合物の総称…ですが、私もあまり詳しくないため「香り成分の1ジャンル」くらいで理解しておくことにします)。この香り、どこかで嗅いだことがあるなと思い調べてみたところ、何とカメムシのニオイに近いのだそうです。実はカメムシからもヘキセナールやデセナールと呼ばれるアルデヒド類を発しており、これがパクチーに似た青臭い香りの原因となっています。その性質により、パクチーには「カメムシ草」という少し可哀想(?)な別名が付けられています。
なお先程取り上げた香り成分の感じ方は人それぞれで、「良い香り」と感じる人もいれば、「不快な香り」と感じる人もいます。この傾向にはヒトの遺伝子が関係しているとも言われ、日本人の場合は後者(=パクチーが苦手な人)の割合が高いようです。
パクチーとコリアンダーの違いは?
本記事では「パクチー」について取り上げていますが、よく似た野菜として「コリアンダー」「シャンツァイ」という名前が挙がることもあります。これらは別物…かと思いきや、実は全く同じ植物を指しているのだそうです。
パクチー・コリアンダー・シャンツァイという呼称に関しては、以下のように使い分けられています。用途によるところが大きく、海外→日本へ伝わったルートがそれぞれ異なることなどが関係しているようです。なお、日本での標準的な呼称(和名)はコエンドロですが、こちらに関しては正直あまり耳にしないような気がします。
◎パクチーの概要
・タイ語でコリアンダーを意味する。主に生の葉や茎を食用とする場合にこの呼称が使われる。
◎コリアンダーの概要
・英語圏で用いられる一般的な呼称。主に種子や葉を乾燥させて香辛料として用いる場合にこの呼称が使われる。
◎シャンツァイ(香菜)の概要
・中国語でコリアンダーを意味する。主に中華料理の食材として用いる場合にこの呼称が使われる。