今回は少しマニアックな話題で失礼いたします。この時期になると、野原や公園などでニワゼキショウの花をよく見かけます。小さい頃から野草が好きなのですが、その中でも特に好きなのがこのニワゼキショウだったりします。
ニワゼキショウといえば上の写真のような赤紫色の花のほか、白や薄青色の花もよく見かけます。花色以外はほぼ同じ見た目をしている両者ですが、異なる品種の野草なのでしょうか?
…という私自身の疑問を解決するため、今回の記事をまとめることにしました。
ニワゼキショウの概要
科・属名:アヤメ科ニワゼキショウ属
種別:一年草
花色:赤紫、白
花期:5〜6月
原産:北アメリカ
別名:ナンキンアヤメ、シシリンチウムなど
花言葉:繁栄、豊かな感情、豊富など
◎特徴:
北アメリカ原産の帰化植物で、日当たりが良くやや湿った場所に広く自生しています。葉がサトイモ科のセキショウ(石菖)に似ていることから、その名(庭石菖)が付いたとされています。一日花のため、咲いた花はその日のうちに萎んでしまいます。
赤紫・白・薄青の花は全て同じ品種?
さて冒頭でも触れましたが、ニワゼキショウには主に赤紫・白・薄青の花があります。見た目はどれもよく似ていますが、これらは全て同じ品種なのでしょうか?
少し調べてみたところ、赤紫と白は同じ品種ですが、青紫は少し異なる品種であることがわかりました。それぞれの関係は以下のとおりです。
・赤紫色の花→ニワゼキショウ(劣勢遺伝)
・白色の花→ニワゼキショウ(優勢遺伝)
・薄青色の花→オオニワゼキショウ
※優勢遺伝・劣勢遺伝の違いについて:両親から引き継いだ遺伝子のうち、子に現れやすい遺伝子を優勢、現れにくい遺伝子を劣勢と呼びます。例えば「血液型がAO=A型」を例に挙げると、Aの遺伝子を優勢、Oの遺伝子を劣勢と表します。なお、ここでいう優勢・劣勢は遺伝子の性質によるものであり、遺伝子自体の優劣を表すものではありません。
なおニワゼキショウの仲間には、上記の3種類のほかに黄・青紫の花を咲かせる品種もあります。それぞれの名前は以下のとおりです。
・黄色の花→キバナニワゼキショウ
・青紫の花→アイイロニワゼキショウ
実はどちらも生で見たことがないため、いつか自分の目で見られる日を楽しみにしています。
▲アイイロニワゼキショウ(シシリンチウム)
ニワゼキショウとオオニワゼキショウの違いは?
最後に、ニワゼキショウ(赤紫・白色の花)とオオニワゼキショウ(薄青色の花)の違いについて触れておきたいと思います。花色を除けば、両者の違いは以下のとおりです。
◼︎ニワゼキショウ
・一年草
・草丈はオオニワゼキショウより低い
・花はオオニワゼキショウより大きい
◼︎オオニワゼキショウ
・多年草
・草丈はニワゼキショウより高い
・花はニワゼキショウより小さい
▲オオニワゼキショウ
ニワゼキショウよりもオオニワゼキショウの方が花が小さい、というのは何ともややこしい話ですね。実際にはニワゼキショウとオオニワゼキショウの雑種も存在するため、両者の見分けはそれなりに難しいとされています。