私にとっての植物の楽しみ方といえば実際に花壇などで育ててみることですが、花瓶に生けて飾ることも代表的な楽しみ方の一つです。
せっかく花瓶に生けるのであれば長く楽しみたいところですが、そんな時に「花瓶に10円玉を入れると花が長持ちする!」という説を聞くことがあります。私も試したことはあるのですが、この説は本当なのでしょうか…?
花瓶に10円玉を入れると花が長持ちするのは本当?
早速結論から入りますが、花瓶に10円玉を入れると花が長持ちするのは本当です。ここでは花が長持ちする理由について少しだけご紹介したいと思います。
銅でできた10円玉を水に浸すことにより、微量の銅イオンが水中に溶け出します。この銅イオンには殺菌効果があるため、水中の細菌・バクテリアの増殖を抑制することができます。言い換えると水を綺麗に保つことができるため、茎の切り口が傷みにくくなり、結果として花が長持ちするというわけです。
花を長持ちさせるためには10円玉が何枚必要?
10円玉を水に浸すことで銅イオンが溶け出しますが、その量はごくわずかです。そのため、標準的なサイズの花瓶であれば10円玉数枚以上は必要になると言われています。また水に浸す時間が長いほど、徐々に銅イオンの溶け出す量も減っていきます(同時に10円玉自体も少しずつ劣化していきます)。そのため、花瓶の中に入れる10円玉を適度なタイミングで交換することで、殺菌効果を長く保てるようになります。
10円玉を使用する際の留意点
10円玉から溶け出す銅イオンには殺菌効果がありますが、全ての細菌・バクテリアを消滅させるわけではありません。あくまでも「花瓶の中の細菌・バクテリアを増えにくくする」ことが銅イオンの役割であり、10円玉を花瓶に入れたとしても花や水は傷むので注意が必要です。
傷むスピードはもちろん遅くなるのですが、適度な水の入れ替えや茎の切り戻しが必要な点は変わりません。10円玉を入れたからといって放ったらかしにはせず、きちんと花の手入れをしてあげるようにしましょう。
花を長持ちさせる他の方法は?
こまめな水の入れ替えや茎の切り戻しは基本となりますが、今回取り上げた10円玉のように、ひと手間加えることで花を長持ちさせる方法は数多く存在します。
例えば、漂白剤(ハイターなど)や中性洗剤、お酢などには10円玉と同じような殺菌効果があります。どれも水200〜300mlに対して1滴ほどが適量で、入れ過ぎるとかえって花を傷めてしまうことになるため注意が必要です。
また、花に栄養を与えることで長持ちさせる方法もあります。例えば水200mlに対して小さじ1杯ほどの砂糖を加えることで、花が長持ちすることも確認されています。一方で、細菌やバクテリアの増殖を促進してしまうこともあるため、先程の漂白剤・中性洗剤・お酢などと組み合わせるとより効果が高まります。
また、殺菌効果・栄養の両方を併せ持つものとしてはサイダーなどが挙げられます。酸性の炭酸水による殺菌効果と、中に含まれる糖分による相乗効果により、花を一層長持ちさせてくれます。分量としては水に対して1/5〜1/4程度のサイダーを加えるのが適量とされていますが、購入したばかりのものは炭酸が強すぎるため、かえって花を傷めてしまう恐れがあります。そのため、ある程度気の抜けたサイダーを使うようにすると良いようです。
本記事ではいくつかの方法を取り上げましたが、結局のところは市販の延命剤を使うのが最も花を長持ちさせてくれます。分量についても説明書に従えば良いため、最も手っ取り早い方法なのかもしれません。