正月や節分が終わり、次はバレンタインデー(2月14日)が迫りつつあります。バレンタインデーと言えばチョコレートですが、ここ最近「ルビーチョコレート」と呼ばれる商品をよく見かけるようになった気がします。
その名の通り赤みがかった色をしている点が特徴ですが、この赤色は天然の色合いなのでしょうか?それとも、ストロベリーチョコレートのように何かしらで着色したものなのでしょうか?
カカオの概要
まずは、チョコレートの原料であるカカオの概要について簡単にご紹介したいと思います。
科・属名:アオイ科カカオ属
種別:常緑小高木
花色:白、赤、黄
花期:1年中
収穫期:5月、10月(地域により異なる)
原産:中南米
別名:カカオノキ、ココアノキなど
花言葉:神聖、親切、片想いなど
◎特徴:
中南米の熱帯雨林を原産とする常緑小高木で、現在ではアフリカや東南アジアを含む熱帯地方で多く栽培されています。熱帯地方であれば1年中花を咲かせることが可能で、年に2回ほど大きな収穫期を迎えます(5月頃と10月頃、地域により異なります)。カカオの実はカカオポッドと呼ばれ、種子(カカオ豆)の中の胚乳(カカオバター)を加工することでチョコレートが作られます。
ルビーチョコレートが赤いのはなぜ?
ルビーチョコレートとは、ルビーカカオと呼ばれる特定の原料から作られたチョコレートのことを指します。ルビーカカオはスイスのチョコレート会社である「バリー・ガレボー」が開発した原料で、ブラックチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートに次いで約80年振りに発見されました。そのような経緯から、ルビーチョコレートのことを「第4のチョコレート」と呼ぶこともあります。日本では2018年より流通し始め、現在ではチョコレートの1ジャンルとして定着しつつあります。
「ルビー色」とも呼ばれる赤みを帯びた色や、ラズベリーを彷彿とさせる酸味のある味わいはルビーカカオ特有のものです。見た目だけで言えばストロベリーチョコレート(ホワイトチョコレートに着色料・香料を加えたもの)にもよく似ていますが、ルビーチョコレートに関してはこうした着色料や香料を一切使用していない点が特徴です。
ここまでの内容を踏まえると「ルビーカカオはさぞかし珍しい品種なのでは?」と思ってしまいますが、実際はそうでもありません。ルビーカカオとは「加工されたカカオ豆のうち、特有の色や味わいの元となる前駆体(天然成分)を含むもの」のことであり、品種や産地の制約はないのだそうです。したがって、カカオの産地であればどの場所でもルビーカカオが採れる可能性を秘めていることになります。
※余談ですが…ブラックチョコレートやミルクチョコレートが茶色っぽい色をしているのは、原材料にカカオマス(カカオ豆を発酵・乾燥・粉砕・焙煎したもの)を含んでいるためです。これに対して、原材料にカカオマスを含まないものはホワイトチョコレートと呼ばれます。ホワイトチョコレートの主成分はココアバター(カカオマスから抽出した油分)なので、こちらもカカオを原料としている点は変わりません。
日本でもカカオは育てられるの?
カカオの栽培するためには年平均気温が27℃以上、かつ高温多湿な気候が必須とされています。そのためカカオの生産地はアフリカ、中南米、東南アジアなどの一部地域に限られ、日本でのカカオ栽培はほぼ不可能と言われてきました。
しかしながら、近年は小笠原諸島(東京都)や沖縄県などで生産に成功しており、少しずつですが「国産チョコレート」が流通し始めています。日本で栽培するためには寒さ・暴風・塩害などからカカオの木を守る強靭なビニールハウスが必要になるなど、まだまだ高級品の域を出ませんが…私もいつか購入して味わってみたいものです。