アタマの中は花畑

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【雑談】栗の「イガ」の正体について〜あの痛い棘は何のため?〜

◎前回の記事はこちら

【雑談】天津甘栗が甘いのはなぜ? - アタマの中は花畑

 

前回の記事で予告していた通り、今回もまた栗に関する記事です。これまで「桃栗三年柿八年」「天津甘栗」について取り上げてきましたが、今回は栗そのものに関する疑問に立ち返ってみたいと思います。

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上の写真にも写っているとおり、栗といえば果実を覆う「イガ」が特徴的ですよね。ということで今回は、このイガの正体について少しだけ深掘りしてみたいと思います。

 

 

栗のイガの正体は?

栗のイガの正体については諸説ありますが、苞葉(ほうよう)だとする説が有力です。苞葉とは蕾を覆うように変形した葉のことなので、一言で言ってしまえば「栗のイガの正体は葉だった」ということになります。実際に栗の雌花を見てみると、この時点で既に小さなイガができていることがわかります。開花時点ではまだ棘を触っても柔らかいですが…果実の成長とともに強度を増し、収穫を迎える頃には素手では触れないほど鋭利になります。

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なお栗はブナ科の樹木なので、広い意味ではドングリの一種です。ドングリと言えば実の半分、あるいは全体を覆う殻斗(かくと)と呼ばれる部分がありますが、栗のイガはこの殻斗に該当します。したがって、栗は「ドングリの帽子が実の全体を覆い、ついでに鋭利な棘まで生えてしまった品種」と言えるのかもしれません。

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※ちなみに栗のイガ(ドングリの殻斗)は、他の果物で言う「皮」にあたります。このほか、皮だと思われている茶色の部分(鬼皮)は「果肉」、私達が食用としている黄色の部分や渋皮は「種子」に該当します。

 

栗のイガは何のためにあるの?

私がこの質問を受けたら真っ先に「動物や鳥から実を守るため」と言ってしまいそうですが、実際はそうではないようです。というのも、収穫期を迎えたイガは割れて実が剥き出しになる(木から落ちれば、実がイガの外に出てしまう場合もある)ため、動物や鳥からしたらそれほど食べにくい訳でもないんですよね。

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それではなぜ実をイガで覆っているのかというと、今のところ「虫から実を守るため」が最有力だとされています。成長中の実をイガで覆うことにより、実の内部に卵を産みつけようとする虫を寄せ付けにくくしているのだそうです。それでもなお内部に侵入して卵を産みつける虫は少なからずいるのですが、きっとイガが無ければさらに多くの被害を受けていたことでしょう。

 

棘のない栗も存在する!?

栗と言えばトゲトゲしたイガですが、実は棘の生えない栗も存在します。「とげなし栗」と呼ばれるその品種は、イガからほとんど棘が生えない珍しい栗です。この品種であれば、ほとんど肌を傷付けることなく栗拾いが楽しめそうですね。


果樹の苗/クリ(栗):とげなし栗接木苗4〜5号ポット