先日、近所の公園で黒っぽい猫じゃらし(エノコログサ)のような植物を見つけました。この植物はチカラシバと呼ばれる野草で、私が小学生だった頃の通学路にもたくさん生えていた記憶があります。
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そんなチカラシバですが、漢字では「力芝」と記載します。いかにも強そうな名前をしていますが、本当に力(Power)と関係があるのでしょうか?
チカラシバの概要
科・属名:イネ科チカラシバ属
種別:多年草
花色:─(花弁なし)
花期:8〜11月
原産:東アジア〜東南アジア
別名:ミチシバなど
花言葉:信念、気が強いなど
◎特徴:
東アジア〜東南アジア原産の多年草で、日本では北海道〜九州地方にかけて広く分布しています。人間生活の影響を受けやすい場所(道端やグラウンドなど)にもよく生え、ミチシバ(道芝)と呼ばれることもあります。熟した実の表面には細かな硬い毛が生えており、衣服に引っ掛かりやすいことから「ひっつき虫」の1つとしても知られています。
このほか花序(花穂)には茶褐色の長い毛が生えていますが、この毛が緑色の品種はアオチカラシバ、赤紫色の品種はベニチカラシバと区別されます。
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名前の由来は?
概要欄でも触れた通り、チカラシバは人間生活の影響を受けやすい場所にもよく生えます。そのため人間に踏まれやすいのですが、何度踏まれても起き上がる強靭さを持っています。さらに多年草であるチカラシバは何年もかけて株を大きく成長させ、根もしっかり伸ばしていきます。大株ともなると茎や葉はそう簡単にちぎれず、株ごと引き抜くにも相応の力が必要になります。こうした「強靭さ」や「丈夫さ」が力(Power)を連想させ、チカラシバと呼ばれるようになったと言われています。
【余談】芝の定義について
今回取り上げているのはチカラシバ(力芝)ですが、芝と言われるとどうしても芝生を連想してしまいます。いわゆる芝生とチカラシバでは見た目が全然違いますが、そもそも「芝」とは何を指しているのでしょうか?
調べてみたところ、どうやらイネ科の多年草を総称して「芝」と呼んでいるようです。さらにこの芝を人工的に群生させ、刈り込みなどの管理を行った場合には芝生(または芝草)と呼び変えているようです。したがって少しややこしいのですが…ここまでの内容を踏まえると「チカラシバは芝だが、芝生(芝草)ではない」ということになりそうです。