秋が深まり、自宅の近くでもこちらの野草をよく見かけるようになりました。私はセンダングサと呼んでしまうことが多いのですが、正式名称は「コセンダングサ」なのだそうです。
私が小学生の頃、通学路沿いにもたくさん生えていたことから友達と実を投げ合って遊んだものです。服に付きやすいことからくっつき虫・ひっつき虫とも呼んでいました。先日取り上げたオナモミと同じ類ですね。
◎オナモミについてはこちら
【オナモミ】実は絶滅危惧種だった!?オオオナモミとの違いは? - アタマの中は花畑
さて、コセンダングサやオナモミをはじめとする「ひっつき虫」の類ですが、なぜこんなにも衣類に付きやすいのでしょうか?その理由は、その植物ならではの生存戦略にありました。
コセンダングサの概要
ひっつき虫の説明に入る前に、まずは冒頭に掲載したコセンダングサの概要からご紹介します。
科・属名:キク科センダングサ属
種別:一年草
花色:黄
花期:9〜11月
原産:熱帯アメリカ
別名:センダングサ、ひっつき虫(くっつき虫)など
花言葉:悪戯好きな子供、近寄らないでなど
◎特徴:
北アメリカ原産の一年草で、現在では日本各地に帰化しています。繁殖力がとても強く、数あるセンダングサの中でも最も多く分布していると言われています。完熟すると果実が放射状に広がり、衣類や動物の毛などに付着します。
変種がとても多い!
コセンダングサは変種が多い植物としても有名で、代表的な品種は以下のように区別されています。一般的によく見かける花弁の無い黄色の花は大抵コセンダングサです。
▲コセンダングサの花
・コセンダングサ:白い舌状花(花弁)を持たない
・コシロノセンダングサ:小さな白い舌状花を持つ
・シロノセンダングサ:白い舌状花を持つ
その他、舌状花の色や実の形状によって更に品種が分かれます。
・センダングサ:黄色い舌状花を持つ
・アメリカセンダングサ:扁平な実を付ける
衣類にくっ付きやすいのはなぜ?
コセンダングサの果実の先端(ホウキ状に分かれている部分)にはかぎ状の毛がたくさん生えており、その毛が衣類や動物の毛に引っかかることで付着します。例えるなら、実の先端に小さな鍵爪や釣り針が装備されている…といったところでしょうか。
▲コセンダングサの実
なぜくっ付く必要があるの?
私達人間からしたら迷惑でしかないひっつき虫。草むらに少し入っただけで服にびっしり付着してしまい、取り除くのに苦労した…という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんなコセンダングサをはじめとした「ひっつき虫」ですが、なぜ衣類や動物の毛にわざわざ付着する必要があるのでしょうか?その訳は植物自身の生存戦略にあると言われています。植物には種を作る力はありますが、その種を広範囲にまく力はありません。そのため、衣類や動物の毛などに付着することで種を遠くまで運んでもらい、生息域を広げているのだそうです。
今回取り上げた「ひっつき虫」以外にも、種を運んでもらう方法はたくさんあります。例えば昨日の記事で取り上げたムベやアケビは果肉を甘くすることで動物に食べてもらい、遠く離れた場所で糞として排出されることにより生息域を広げています。本当、植物って賢いですよね。
◎ムベ・アケビについてはこちら