先週末に家族で食べ放題の店を訪れた際、デザートコーナーに冷凍ライチが置かれているのを見つけました。皮を剥くのが少し面倒ではあるのですが…普段なかなか食べる機会がないため、見かけたらついつい手に取ってしまう果物の1つです。
(※写真はイメージです)
さて、私にとってライチと言えばこの「冷凍物」なのですが、生のライチ自体はこれまでほとんど食べたことがなかったかもしれません。輸入品でも生のまま流通している果物が多くある一方、ライチが冷凍されているのは一体なぜなのでしょうか?
ライチの概要
科・属名:ムクロジ科レイシ属
種別:常緑高木
花色:黄緑
花期:3〜4月
収穫期:5〜7月
原産:中国南部
別名:レイシ(茘枝)、ライチーなど
花言葉:自制心、節制など
◎特徴:
中国南部原産の常緑高木で、現在では熱帯〜亜熱帯地域を中心に世界各地で栽培されています。原産地である中国南部では紀元前から栽培が始まり、世界三大美女の一人でもある楊貴妃に愛されたフルーツとしても知られています。果実は鱗状の果皮に覆われ、中には半透明でみずみずしい果肉が詰まっています。
高温多湿の気候を好むため、日本では九州南部〜沖縄地方を中心に栽培されています。但し国内生産量はわずかで、全体の98%程度は中国・台湾・ベトナムなどからの輸入に頼っています。
冷凍ライチばかり見かけるのはなぜ?
本記事のタイトルでもあるこちらの疑問ですが、調べてみたところライチの実の性質に大きく関係しているようです。ライチは数ある果物の中でも特に傷みやすく、中国では「ライチは枝を離れるや、1日で色が変わり、2日にして香りが失せ、3日後には色も香りも味わいもことごとく尽きてしまう」と伝えられているほどです。また生のライチには寄生虫が沸きやすく、冷蔵保存したとしても賞味期限は1週間ほどと短いです。
そのため輸入ライチに関しては、鮮度を保つ目的で冷凍処理されたものが流通しています。海外では生の状態で見かけることもありますが、日本では安全性の観点から、冷凍したものを輸入・販売するよう食品基準法で定められています。ライチの輸入割合は全体の98%程度と言われていますので、これこそが冷凍ライチを多く見かける理由だと考えられます。
なお概要欄でも触れた通り、日本でも宮崎県や鹿児島県を中心にライチを生産しています。国産ライチに関しては生でも流通しているため、限られた期間(5〜7月頃)ではありますが店頭でも見かけることができます。国産であっても傷みやすい点は変わりませんので、購入したらすぐに食べるようにしましょう。
(※私も昨年夏に一度見かけたのですが、価格がネックで当時は購入しませんでした。ただ冷凍ライチとは違う美味しさがあるようですので、いつか食べてみたいなとは思っています。)
【余談】レイシとツルレイシの違いについて
今回取り上げたライチは漢字で茘枝(レイシ)と表記しますが、他にも「ツルレイシ」と呼ばれる植物が存在します。つる性の植物であることは何となく想像できますが…その正体は何とニガウリ(ゴーヤ)なのだそうです。ニガウリ自体は全く異なる植物ですが、果皮がでこぼこしている点や、熟した仮種皮(種子の周りに付いた部分)が甘くなる点がライチに似ていることからその名が付いたとされています。
ライチに関しても日本に渡来した当初は「レイシ」と呼ばれていましたが、ツルレイシ(ニガウリ)と区別する目的で「ライチ」が一般的な呼称となりました。なおライチという呼称に関しては、「茘枝」の音読みに由来しています。
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