現在、我が家の花壇には何株かのパンジー(ビオラ)を植えているのですが、その中にひときわ黒い花を咲かせる株があります。行きつけのホームセンターで偶然見かけ、一目惚れして購入してしまったものです。
そんな黒い花を咲かせるパンジーなのですが、植物学上では「黒い花」自体が存在しないのだそうです。では、このパンジーの花色は厳密には何色なのでしょうか…?気になったので、今回は花に含まれる色素について少しだけ調べてみることにしました。
花に含まれる色素について
現在、世界には確認されているだけでも約20万種の花が存在すると言われています。花色の定義には諸説あるため一概には言えませんが、自然界では白や黄系統の花が相対的に多いようです。白や黄色は昆虫にとって視認しやすい色であるため、虫達を誘き寄せる目的でこのような色の花を咲かせていると考えられます。
・白系統:30%強
・黄系統:30%弱
・青〜紫系統:20%強
・ピンク〜赤系統:10〜20%弱
・その他(緑など):数%
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なお、植物によって作られる色素は大きく以下の4系統に分けられます。したがって、花色に関してもこの4系統の色素のバランスによって決まることになります。
・フラボノイド(赤、紫、青系統)
・カロテノイド(黄、橙、赤系統)
・ベタレイン(黄、赤、紫系統)
・クロロフィル(緑系統)
「黒い花」が実在しないのは本当?
既にお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが…植物が作り出せる色素はフラボノイド・カロテノイド・ベタレイン・クロロフィルの4系統のみであり、黒い色素を作り出すことはできません。つまり、普段私達が「黒い花」と呼んでいる花は4系統の色素のバランスでたまたま黒っぽく見えているだけであり、実際には黒ではないということになります。例えば、冒頭で取り上げたパンジーには多量のアントシアニン(フラボノイドの一種)が含まれているため、厳密な花色は「濃い紫色」です。下の写真をよく見てみると、花の下側が紫がかっていることがわかります。
このほか、黒っぽい花を咲かせる植物としてはクロユリ・バラ・チューリップ・ペチュニアなどが挙げられます。こちらも色素のバランスによって黒っぽく見えている(=自然光を吸収するため黒く見える)だけで、厳密には「黒」ではありません。
▲クロユリ(参考)
実は「白い花」も実在しなかった!?
植物は黒に加えて、実は白い色素も作り出すことができません。したがって「白い花」も同様に存在しないはずなのですが…本記事の前段部分で触れた通り、最も多い花色は白系統だと言われています。白い色素を作り出せないにも関わらず、花弁が白っぽく見えるのは一体なぜなのでしょうか?
実は、これらの花にはフラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルといった色素がほとんど含まれていません。そのため、太陽から降り注ぐ自然光が色素によって吸収されることはなく、満遍なく乱反射されます。その結果、花色が白っぽく見えるというわけです。