本日(2月3日)は節分です。節分に使う植物としてはまず豆まきに使う大豆(あるいは落花生)が挙がりそうですが、今回は大豆ではなくヒイラギに目を向けてみたいと思います。
節分の際に行うイベントとして、豆まきの他に柊鰯(ひいらぎいわし:柊の小枝に焼いた鰯の頭を刺したもの)を飾り付けることがあります。ヒイラギ以外にも青々とした樹木はたくさんあるはずですが、そんな中でヒイラギが選ばれたのは一体なぜなのでしょうか?
ヒイラギの概要
科・属名:モクセイ科モクセイ属
種別:常緑小高木
花色:白
花期:10〜12月
原産:日本、台湾
別名:ヒラギなど
花言葉:用心深さ、あなたを守る、保護など
◎特徴:
日本や台湾を原産とする常緑小高木で、日本では東北南部〜沖縄地方にかけて分布しています。葉には棘状の鋸歯があり、触るとヒリヒリ痛む(疼く(ひひらく)、疼ぐ(ひいらぐ))ことからその名が付けられました。邪気を払う縁起物とされ、庭木や生垣としてもよく植えられています。また10〜12月頃には白い小さな花が咲き、同じモクセイ科のキンモクセイに似た甘い香りがします。
節分にヒイラギを飾るのはなぜ?
冒頭でご紹介した柊鰯(または節分鰯、焼嗅(やいかがし)、柊刺しなど)の風習は平安時代に始まり、現在でも西日本を中心に行われています。柊鰯には魔除けの意味合いが込められており、特にヒイラギの葉は鬼の目を刺して嫌がらせる効果があると言われています。真冬でも青々とした葉を茂らせる樹木自体は多くありますが、そんな中でもヒイラギが採用されたのはトゲトゲした葉のおかげなのかもしれません。
また、鬼は鰯の頭が放つ独特の臭いも嫌いだとされています。そのため、ヒイラギの小枝に鰯の頭を刺して玄関先に飾ることで、鬼が家の中に侵入するのを防ぐ効果を持ちます。
【余談】ヒイラギとセイヨウヒイラギの違いは?
節分にヒイラギが用いられる一方で、クリスマスの際にはセイヨウヒイラギと呼ばれる植物がよく飾られています。葉の見た目が似ていることなどから両方とも「ヒイラギ」という名称ですが、厳密には全く異なる植物です。ここでは、ヒイラギとセイヨウヒイラギの違いについても簡単にご紹介できればと思います。
◎ヒイラギの特徴(写真左)
・モクセイ科モクセイ属に属する
・枝の節に2枚ずつ葉を付ける(双生)
・セイヨウヒイラギよりも葉がやや大きい
・花にはキンモクセイに似た甘い香りがある
・秋〜冬に開花し、翌春に黒っぽい実を付ける
◎セイヨウヒイラギの特徴(写真右)
・モチノキ科モチノキ属に属する
・枝の節に1枚ずつ交互に葉を付ける(互性)
・ヒイラギよりも葉がやや小さい
・花は香りをほとんど持たない
・春に開花し、秋〜冬に赤っぽい実を付ける