冬になると、このような姿の植物をよく見かけます。
葉を地面にぴったりと付け、同心円状に広がったこの姿は「ロゼット」と呼ばれます。花を見るのも好きですが、ロゼットも「ああ冬になったなぁ」という感じがしてとても好きです。
私の趣味にかなり寄った話題になりますが…今回はロゼットについてご紹介したいと思います。
ロゼットとは?
先程もご紹介したとおり、同心円状に広げた葉を地面にぴったり付けた状態のことです。その見た目がバラに似ていることからロゼットと呼ばれます。
植物によっては年中見られますが、冬季のみロゼットを形成するものが多い印象です。
ロゼットを形成する利点
ロゼットを形成する利点は大きく2つあります。
過酷な生存競争を勝ち抜くため
こちらは、年中ロゼット状態の植物に共通する特徴です。雑草界の過酷な生存競争を勝ち抜くため、タンポポやオオバコなどの植物は以下の生育環境で生き延びたとされています。
・人や動物の踏みつけが多い場所
・動物の食害や草刈りなどで、背の高い植物が育ちにくい場所
こうした場所でロゼット状態になることで、踏みつけや食害の被害を受けにくくしているのだそうです。踏みつけや食害は年中起こり得るため、タンポポやオオバコは(花部を除き)年中ロゼットの状態で過ごしています。
(※受粉、種子の拡散などの都合上、花だけは高い場所で咲かせます。)
春に元気な花を咲かせるため
一方で、こちらは冬季のみロゼット状態となる植物に共通する特徴です。
ロゼット状態の植物を思い浮かべると、茎にあたる部分がほとんどないことがわかります。つまり、茎の生成に使う養分を節約することで、春に向けてエネルギーを溜めることができます。
また、同心円状に葉を広げることで、茎を伸ばさなくても光合成の効果を高めることができます。
最近見つけたロゼット
ここで、私が最近見つけたロゼットをいくつかご紹介します。通勤中、実家帰省中、ジョギング中などに発見したものです。
◎タンポポ
黄色い花でお馴染み。白い花を咲かせるシロバナタンポポもあります。
小さい頃、シロバナタンポポを見かけるとすごくテンションが上がった思い出が。。。
◎オオバコ
春に伸びる茎を使って「オオバコ相撲」を楽しんだことのある方もいるのではないでしょうか?私もその1人ですが…。
種子は「オオバコダイエット」なるものにも使われているそうです。
夏に咲く黄色の花が印象的です。個人的に、見た目が最も好きなロゼットです。
小学生時代の自由研究でマツヨイグサの花粉を顕微鏡で見た時、テトラポッドみたいな形をしていて驚いた思い出があります。
◎ハルノノゲシ
春に開花するケシに似た花、という意味からハルノノゲシと呼ばれるようになったそうです。秋に開花するアキノノゲシもあります。
◎オオアレチノギク
名前のとおり、荒地などでよく見かけられます。私の住んでいた地域ではビンボウグサとも呼んでいましたが、ビンボウグサはハルジオンの別称として用いられることが多いようです。
◎スイバ
葉や茎を食べると酸っぱいことから、酸い葉=スイバと呼ばれるようになりました。同じスイバ属のギシギシとよく見間違われます。
春の七草の一つであるコオニタビラコによく似ています。コオニタビラコに比べて、葉の表面に細かい毛が多く生えています。
◎チチコグサ
春の七草の一つであるハハコグサによく似ています。ハハコグサに比べると、葉が細長いのが特徴です。
◎ウラジロチチコグサ
こちらもハハコグサに酷似しています。チチコグサとは異なり、ハハコグサよりも丸みを帯びた葉をしています。
(植物の見分けって難しいなぁ。。。)
◎フキ
ロゼットと言えるか微妙なところですが…実家の畑では蕗の葉がたくさん出ていました。中央には、後に「フキノトウ」となる蕾が付いています。
おわりに
今回は花壇や家庭菜園から少し離れた話題にしてみました。昔から花好きを公言しているのですが、どちらかといえば園芸用の花よりも雑草を見て育ってきました。
(※通学路のほとんどが農道だったことなども、少なからず影響していたのかもしれません)
「雑草」と一言で片付けられることも多いですが、よく観察してみると雑草もなかなか面白いですよ。機会があれば、道端や足元にも目を向けてみてはいかがでしょうか?