アタマの中は花畑

小さな花壇と家庭菜園を手に入れたガーデニング初心者の日々

【アジサイ】土のpHによって花の色が変わるのはなぜ?その理由をできるだけ簡単に説明してみました

今日で6月も最終日となりました。毎年この時期は梅雨にあたるため雨が降りやすく、花の写真を撮ろうとしても色がくすんで見えてしまうのが難点です。

 

一方で、雨が降っているからこそ映える花もたくさんあります。その代表格が今回取り上げるアジサイではないでしょうか。雨とカタツムリが似合う植物としては右に出るものはいない!…と個人的には思っています。

 

そんなアジサイについてよく耳にするのが「土のpHによって花の色が変わる」という説です。もう少し言い換えると、アジサイを育てる土が酸性か中性かアルカリ性かによって花の色が変わるのでは?と言われています。

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今回は、アジサイの花の色が変わる理由について触れてみたいと思います。細かく説明すると難しくなってしまうため、私が理解できた範囲の内容をできるだけ噛み砕いてまとめてみました。(間違っていたらすみません)

※アジサイの花弁のように見える部分は萼(がく)であり、実際は花ではないのですが…本記事では便宜上「花」と記載することにします。予めご容赦いただけますと幸いです。

 

◎アジサイの概要についてはこちら

【万華鏡】グラデーションが印象的な八重咲きアジサイ!〜我が家に万華鏡がやって来た〜 - アタマの中は花畑

 

 

アジサイの花の色が変わるのは本当?

早速結論から記載してしまうのですが、土のpHによって花の色が変わるのは本当です。一般的に、酸性なら青、中性〜アルカリ性ならピンクに変化するとされています。

 

花の色を決める3つの要素

アジサイの花の色が変わる理由としては、主に3つの要素が関わっています。ここでは、それぞれの要素についても簡単に説明しておきます。

 

①アントシアニン

アジサイの花が咲く際に形成される色素で、赤っぽい色をしています。ブルーベリーなどに含まれている色素としても有名です。

 

②補助色素

アントシアニンと同様、アジサイの花が咲く際に形成されます。こちらは助色素と呼ばれ、単体では無色です。

 

③アルミニウムイオン

土の中に含まれる成分の一種です。アジサイには元々含まれておらず、根を通じて吸収されます。

 

花の色が変わるのはなぜ?

花の色が変わる理由について、先程挙げた3つの要素を使って説明してみます。まず、アジサイの花が咲くにつれて、花の中ではアントシアニンや補助色素が形成されます。

 

その一方で、根を通じてアルミニウムイオンが吸収されるのですが、このイオンの溶け出し方が土のpHによって異なります。アルミニウムイオンは土が酸性であれば溶け出しやすく、アルカリ性であれば溶け出しにくい性質を持ちます。

 

仮にアルミニウムイオンが溶け出して根から吸収された場合、花の中に形成されたアントシアニンや補助色素と化学反応を起こします。この化学反応により、青い色を発色するようになります。

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ここまでの内容をもとに、土が酸性の場合、アルカリ性の場合で花の発色がどのように変化するのかまとめてみます。発色のためには、アントシアニン・補助色素(・アルミニウムイオン)が必要不可欠ということですね。

 

◎土が酸性の場合

溶け出したアルミニウムイオンが根から吸収されるため、アントシアニンや補助色素と化学反応を起こして青い色を発色します。その結果、アジサイの花は青く見えます。

 

◎土がアルカリ性の場合

アルミニウムイオンが溶け出しにくいため、根から吸収されることもほとんどありません。その結果、アジサイの花の中にはアントシアニン(赤色)と補助色素(無色)しかないため、ピンク色に見えます。

 

よくある疑問とその答え

ここからは、アジサイの発色についてよく耳にする疑問とその答えをまとめてみました。

※私が理解できている範囲で記載していますので、詳細は割愛させていただいているかもしれません。

 

ピンク色の花しか咲かない品種もあるのでは?

品種によっては、酸性の土でもピンク色の花しか咲かない品種も存在します。そのような品種の多くは、花が咲く際に形成される補助色素が存在しない、あるいは少ないようです。補助色素が存在しない場合、アルミニウムイオンが根から吸収されても化学反応を起こさないため、アントシアニン本来の赤っぽい色が発色されます。したがって、酸性の土でもピンク色の花を咲かせます。

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白い花はどうしたら咲くの?

白い花を咲かせる品種の多くは、花が咲く際にアントシアニンが形成されません。アントシアニンがなければ発色することもなく、アルミニウムイオンとの化学反応も起こしません。したがって、このような品種では白い花を咲かせます。

 

ちなみに、白い花が咲く品種を酸性やアルカリ性の土に植えても、花が青やピンクに変わることはありません。

 

同じ株でも花の色が違うのはなぜ?

同じ株であっても青い花やピンクの花、その中間である紫の花が入り乱れて咲いているのを目にすることがあります。土は同じなのに、なぜ花の色が変わるのでしょうか?

色の変化には、根から吸収されたアルミニウムイオンが深く関わっているのは先程記載したとおりですが、どの花にも同じ量が行き届くわけではありません。そのため、アルミニウムイオンがたくさん行き届いた枝には青い花、あまり行き届かなかった枝にはピンクの花が咲きます。

 

日本では青い花が多い気がするのはなぜ?

これには酸性雨が深く関わっています。酸性雨によって土のpHが酸性側に偏るため、結果として青い花を咲かせるケースが多いようです。

また、アルカリ性の土壌(アルカリ性の肥料を与えた場合など)でも、雨によってその成分が流れ出してしまいます。そのため、土壌を放置していると徐々に酸性側に偏っていきます。

 

青い花を咲かせるにはどうしたら良い?

青い花を咲かせるためには、酸性の肥料(化成肥料など)や、アルミニウム成分を多く持つミョウバンなどを与えると良いとされています。

 

ピンクの花を咲かせるにはどうしたら良い?

ピンクの花を咲かせるためには、アルカリ性の肥料(消石灰、苦土石灰、牡蠣殻など)を与えると良いとされています。

 

アジサイの蕾が緑色なのはなぜ?

アジサイの花には元々葉緑素が含まれているため、緑っぽい色をしています。花が咲き始めると葉緑素は少なくなり、代わりにアントシアニンや補助色素が増えるため、徐々に花の色が変化していきます。

 

時間が経つにつれて青い花が赤っぽくなるのはなぜ?

花の老化現象の一つです。花が咲いてから時間が経過すると、花の中には有機酸と呼ばれる酸性の成分が蓄積されていきます。有機酸が蓄積されると、元々青を発色していた成分(アントシアニン・補助色素・アルミニウムイオンが化学反応したもの)が赤く変色します。その結果、青色だった花が赤くなったように見えます。

 

花が咲き終えると再び緑色になるのはなぜ?

こちらも花の老化の一種と考えられます。花が老化するとアントシアニンや補助色素が少なくなるため、元々あった葉緑素の緑色が目立つようになります。

 

花が緑色になると「咲き終わり」となるため、来年も花を楽しむためには早めに剪定を済ませておきましょう。

 

◎アジサイの剪定についてはこちら

【アジサイ】毎年花を咲かせたい!開花後の剪定と挿し木の方法について - アタマの中は花畑

 

おわりに

今回は、私の頭の中を整理する目的も兼ねて、アジサイの花色についてまとめてみました。アジサイは時間の経過とともに花色が変わる植物として有名で「移り気」という花言葉があるほどです。また、訪れる時期によって花色が変わるため、アジサイの名所は1シーズンに何度も訪れた方が良いとも言われます。

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このようなアジサイの性質を利用し、現在では様々な園芸品種が開発されています。1つの花で2色・3色に分かれる品種もあり、その見た目は他の花にも劣りません。きっと好みに合うアジサイが見つかるはずですので、機会があれば是非植えてみてはいかがでしょうか。

 


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