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以前の記事の中で「ピーマンやししとうは辛味成分を含まない」と取り上げたのですが、少し前の昼食で食べたシシトウの天ぷらがやたら辛かったことをふと思い出しました。思わず水を飲みたくなるほどの辛さだったのですが、「シシトウは辛くない」というのは真っ赤な嘘だったのでしょうか?
今回は、そんなシシトウが持つ辛味成分の正体、そして辛くないシシトウの見分け方について少しご紹介したいと思います。
シシトウの概要
科・属名:ナス科トウガラシ属
種別:一年草
花色:白
花期:6〜10月
収穫期:6〜10月
原産:中南米
別名:シシトウガラシ(獅子唐辛子)、甘トウガラシ、南蛮辛子など
花言葉:旧友・雅味・嫉妬など
◎特徴:
正式名称はシシトウガラシですが、一般的には「シシトウ」の名前で流通しています。トウガラシの甘味種で、植物学的にはピーマンと同種であるとされています。トウガラシのように熟すと赤くなりますが、シシトウの場合は未熟な緑色の状態で収穫されます。
また「シシトウ」の名前の由来は、実の先端が獅子の頭に似ていることだとされています(獅子頭=ししとう)。
▲シシトウの実の先端(参考)
シシトウが辛いのはなぜ?
シシトウはトウガラシを品種改良した甘味種ですが、稀に「辛いシシトウ」が混ざっていることがあります。しかしながら、冒頭の関連記事を振り返ってみると、この内容が矛盾していることに気付きます。それでは、本来辛くないはずのシシトウが辛くなってしまうのは一体なぜなのでしょうか?
そのポイントとなるのが「元々辛かったトウガラシを品種改良したものがシシトウである」という点です。シシトウは本来辛味成分(カプサイシン)を持たない甘味種ですが…普段はカプサイシンを生成しないだけで、カプサイシンを生成する能力自体は持ち合わせています(※一部例外もあるようです)。そのため、通常の栽培ではカプサイシンは生成されないのですが、高温・水不足といったストレスを与えると先祖返りしてカプサイシンを生成する場合があります。このシシトウことが、稀に混入している「辛いシシトウ」の正体です。
ここからは、カプサイシンが生成される過程についてもう少し詳しく説明します。シシトウには、栽培中に与えたストレスによって、果実内に生成される種子の数を減らす性質があります。この性質を単為結果(種なし果)と呼ぶのですが、単為結果の発生により「種子の生成のために蓄えておいた栄養素」が余ってしまうことになります。この栄養素の存在により、本来は生成されないはずのカプサイシンが生成され、結果として「辛いシシトウ」が出来上がるというわけです。
ここまでの内容を簡単にまとめると、
・シシトウの辛味成分はトウガラシと同じカプサイシンである。
・シシトウの果実には本来カプサイシンは生成されないが、栽培中に与えたストレスによりカプサイシンが生成される場合がある。
ということになります。したがって、以前の記事で触れた内容(シシトウは本来辛味成分を持たない)と、稀に混入している辛いシシトウの存在はどちらも本当だったということですね。
辛いシシトウ・辛くないシシトウの見分け方
最後に、辛いシシトウと辛くないシシトウの見分け方についても少し触れておきたいと思います。ここまでの内容を踏まえて考えると、栽培中のストレスが少なかったシシトウを見分けることができれば、辛いシシトウを食べてしまう可能性を低くできそうです。
栽培中のストレスが少なかったシシトウの特徴は以下のとおりです。必ずしも①②を満たすシシトウは絶対辛くない!それ以外は絶対辛い!というわけではありませんが、①②を満たしているものの方が統計的に辛くない割合が高いようです。
①果実が真っ直ぐな形状をしている
②果実の中の種が少ない
家庭菜園等でシシトウを育てる場合は、高温・水不足といったストレスを最小限に抑えることで「辛いシシトウ」の混入率を低くすることができます。逆に辛いシシトウをたくさん食べたい場合は、栽培中に多くのストレスを与えるようにすると良いかも知れません。
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